友情にSOS/楽しい夜に、なるはずだった

サスペンス
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友情にSOS

Emergency/監督:キャリー・ウィリアムズ/2022年/アメリカ

アマゾンプライムビデオで鑑賞。Twitterでおすすめ映画を募ったところ、このタイトルを挙げてくださった方がいらしたので観ました。予備知識はアマプラのあらすじだけです。

あらすじ:パーティをはしごしたいが……。

ネタバレしています。 本文中、ネタバレの前には注意書きをしています。

ルームシェアしている大学生のクンレ(ドナルド・エリース・ワトキンス)とショーン(RJ・サイラー)は、7つのパーティをはしごする計画を立てていました。もろもろあっていったん家に帰ると、見ず知らずの白人女性が倒れています。警察を呼ぼうというクンレに、ショーンは「状況が悪い。大麻くさい部屋に白人が倒れている。見た目が悪い。マイノリティの男性3人が白人女を襲ったと思うはず」と答えます。家が大麻くさかったのは、もうひとりルームシェアしているカルロス(セバスチャン・チャコン)がブクブクしながらゲームをやっていたため。

クンレは真面目なおぼっちゃんで、他人を信じすぎているように思います。ショーンは、黒人がどういう扱いをされるかについて現実的にとらえているようす。しかも倒れていたのはエマという名の高校生(マディー・ニコルズ)で、死んではいませんが自力で立つこともままならず、おそらくなにかのドラッグをやっているのであろうという感じ。しかも彼女、うっかり強いお酒を飲んじゃって大変です。アメリカは未成年の扱いに厳しいな(というか日本が甘い気がするんですが)と感じたのは、強面の男たちが、エマが高校生と知った途端にその場を離れて逃げていくシーンですね。他の映画でもこういう描写をちらちら観てはいますが、アメリカ人は未成年にとことん関わりたくないというのがよくわかります。

※以下ネタバレを含みます。

エマの姉マディ(サブリナ・カーペンター)とその友人がクンレらを探し出します。妹が誘拐されたと信じ切っているマディは、ぎゃあぎゃあわめいて事態を悪化させるんですね。彼らが通報したので警察が追ってきて、捕まってしまうわけです。そのときもマディはぎゃあぎゃあわめいている。妹が大切で混乱しているのはわかるのですが、それにしてもちょっとわめきすぎです。いつも常に冷静であれとは言いません。私もぎゃあぎゃあするときはありますし、マディの気持ちもわかるんです。が、ショーンの言葉を借りるなら「状況が悪い」んです。

この映画はコメディだし、3人があたふたするようすを楽しむことは出来ます。でもこの映画は、監督が伝えたかったであろう、アメリカに根強く残る黒人差別の問題に切り込んでいっているわけです。こういった物語を真正面から真面目に描くとライアン・クーグラー監督の『フルートベール駅で』(2014年)になるし、ホラー映画のていで描くとジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』(2017年)になるんですよね。

ラスト、クンレはマディの謝罪を受け入れることなく終わります。そこにどのような気持ちがあったのか、私には読み解くことができませんでした。ラストカットのクンレの表情も、どういう気持ちでいるのかわからなかったです。これがわからない私はたぶん人種差別問題のことをちゃんと考えることができていないんだろうな、と思いましたね。

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