スティルウォーター/あの娘の無実を信じてる

サスペンス
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スティルウォーター

Stillwater/監督:トム・マッカーシー/2021年/アメリカ

アマゾンプライムビデオで鑑賞。Twitterでおすすめ映画を募ったところ、このタイトルを挙げてくださった方がいらしたので観ました。予備知識はアマプラのあらすじだけです。

あらすじ:異国の地で収監されている娘を助けます。

ネタバレしています。 本文中、ネタバレの前には注意書きをしています。

オクラホマ州スティルウォーターに住むビル(マット・デイモン)の娘、アリソン(アビゲイル・ブレスリン)はフランス留学中に殺人罪で収監されてしまいます。アリソンの弁護士ルパルク(アンヌ・ル・ニ)は、もう諦めたほうがいい、とビルにアドバイスしますが……。

ビルはフランスに移住。マルセイユで出会ったフランス人女性ヴィルジニー(カミーユ・コッタン)とその娘マヤ(リルー・シュヴォー)に助けられながら、言葉が通じない国で必死になって娘を助けようと奔走します。危険なスラム街に立ち入って、そこの若者に集団リンチを受けてさえも。

娘が刑務所に入っている、しかも家から遠く離れた国で。ビルがこの5年間、どれほど苦悩し祈ったか、想像するだけでつらい気持ちになります。画はかなり地味ですが、物語を引っ張る力がすごくて、引き込まれて観ました。静かな音楽も、内容にとても合っていると思います。後半30分がめちゃくちゃおもしろいよ。

※以下ネタバレを含みます。

仮釈放のあと、アリソンは自殺未遂事件を起こします。ビルの妻は亡くなっており、死因は自殺でした。ビルにとって、妻も娘も自殺を選ぶというのはとてもしんどいことでしょう。アリソンは一命を取り留めます。ここで亡くなったら本当にこれ救いのない映画になっただろうな。

ビルとヴィルジニーのロマンスや、ビルとマヤの親子愛に似た絆に少しの安心感をおぼえていたところ、ビルがとんでもないことをしているのが解るんですね。これはびっくりした、というか、ビルは突っ走りすぎでしょう。元警官から「娘のためとはいえ、犯罪に手を染めるのは間違っている」とか言われたのに、アリソンの証言を真に受けてしまっている。弁護士ルパルクにも序盤でアドバイスもらってたのに……。ダメだって、それは。本当に。ビルは、娘の無実を証明する一人の父親から、若者を監禁して拷問する犯罪者へ、手のひらを返すように変化してしまうわけです。これって、ひとは誰しも善と悪とそれ以外の姿をもっており、正しいだけのひとも、間違っているだけのひともいない、ということなのかなと思います。

ラストで明かされる真実と、その後の父娘のようすに、どうにもやりきれない気持ちが湧き上がってくる映画でした。そこそこ重めですが良い映画だと思います。

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