幻滅/ペンを持て、悪意を撒け

人間ドラマ
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幻滅

Illusions perdues/監督:グザビエ・ジャノリ/2021年/フランス

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年4月14日です。オノレ・ド・バルザック幻滅―メディア戦記』の映画化。

あらすじ:パリで成り上がります。

ネタバレはありません。

フランスの田舎町で、詩集を出すことを夢見ていた⻘年リュシアン(バンジャマン・ボワザン)は、人妻である皇族のルイーズとともに駆け落ち同然で上京する。しかし、社交界に彼の居場所はなかった。どうにかして掴んだ新聞記者の仕事はリュシアンにとって刺激的で、彼はいつしか本来の目的を忘れ、欲にまみれていくが……。

このころの新聞は、うそ、おおげさ、まぎらわしいの三点セットみたいなかんじだったようす。リュシアンの上司ルストー(ヴァンサン・ラコスト)に連れられて行った劇場で若い女優コラリー(サロメ・ドゥワルス)と知り合ったリュシアンは、あっという間に恋に落ちてしまう。人妻から10代へ鞍替えとはなんとも、ねえ。

この映画で面白いなと思ったことのひとつに、たとえ話で出てきたアヒルが実際に編集部の中をかけまわっているところがあります。くわっくわっとか言っててかわいいの。衣装や美術も美しいし、19世紀のフランスの紙ものってそういえば私、蚤の市でよく買うよなあ、とか思ったりしました。何を書いてあるのかは知らないけどね。

ナタンという青年(グザヴィエ・ドラン)が本を出版するとき、ルストーから書評を頼まれた(というかまあいろいろあって頼まれたとは少し違うのだが)リュシアンが「この本はすばらしい」と言って褒めるんだけど、「は? なに褒めちゃってんの?」みたいな態度のルストーが「悪口は簡単」と言っていろいろケチをつけるんですね。こういうこと、昔からやってたんだなあ、とか、本そのものではなく書評を読んで評価を下す人が多かったんだろうなあ、とか思うわけです。今も昔も変わらないものってある、それは人の悪意です。

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