シング・フォー・ミー、ライル/歌をうたおう

ミュージカル
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シング・フォー・ミー、ライル

Lyle, Lyle, Crocodile/監督:ウィル・スペック ジョシュ・ゴードン/2022年/アメリカ

新宿ピカデリー スクリーン8 I-16で鑑賞。

あらすじ:歌をうたうワニがいました。

ネタバレはありません。

※褒めていないので、褒める感想が好きな方は読まないでください。

落ち目のマジシャン、ヘクター(ハビエル・バルデム)は、ふと入ったエキゾチックアニマルの店で、歌をうたう子ワニ、ライル(声:ショーン・メンデス)と出会う。ヘクターは、再起を賭けたステージでワニと一緒に歌おうとする。結局ステージは失敗し、家をでなければならなくなったヘクター。すっかり成長したライルは屋根裏に置き去りに。1年半後、空き家だった家に家族が引っ越して来て……。

観に行った理由は、楽曲が『グレイテスト・ショーマン』(2018年)のベンジ・パセックジャスティン・ポールだったから。私はグレショが好きなんです。で、「『グレイテスト・ショーマン』『ラ・ラ・ランド』の音楽チームが贈る!」という惹句にひかれて観た映画、前も外れだったんだよね(『ディア・エヴァン・ハンセン』(2021年)のこと。これは本当にひどかった)。もう騙されないぞ……。以下、Twitterに書いたものに加筆した。

エピソードがぶつ切りになっている感じがする。絵本シリーズでの小規模な冒険を、いくつかつまんで1本の映画にしたという感じ。中心を貫く物語が見えてこない。散漫とした印象。少年がごみをあさる姿には嫌悪感を覚える。母親(コンスタンス・ウー)はヴィーガンで、レシピ本も出しているような人物だが、ライルと出会ってあっさりヴィーガンをやめる。ヴィーガンはそんなに悪なのか? ごみをあさるよりも? と思ってしまう。とにかくごみのシーンがキツい。しつけが厳しく、抑圧されストレスをためた状態の少年が、両親への反発心も込みでヴィーガンをやめるのならまだわかるが、ライルがちょっと歌っただけで母親が態度を変え、朝からピザを食べ人前でげっぷをするような人間になる、というのは、ちょっとなんだかなと思うわけで。

楽曲のパワーもいまいち。唐突に歌うので感情の盛り上がりもない。ハビエル・バルデムは渋い声で◎だが、それを目当てに行くくらいなら,家で『ノーカントリー』(2008年)を観た方がよい。

いくら感じの悪い人であっても、その人が大切にしているものを理由なく奪うことはいけない。これはかなり問題だと思った。家族の家の地下に住む猫好きの住人で、とにかく口うるさく不愉快な人物であるが、飼い猫をとてもかわいがっている。この猫を少年が連れ回して、まるで自分の飼い猫かのように扱うのには辟易した。ヴィーガンの件と同じで、猫がひどいめに遭っているのなら「助け出す」のはわかるが、そういうわけではないからだ。ただの泥棒だし、大切にされてきた猫にごみを与えて体調不良にさせてしまうのは、まったく褒められたことではない。

というわけで、帰宅してこれを書きながら『グレイテスト・ショーマン』を観ている。色々言われがちな作品だが、楽曲のちからは本当に素晴らしいし、テンポよく進むところもよい。グレショで怒る人はライルでも怒ると思う。参考にどうぞ。

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