帰れない山/約束の場所

人間ドラマ
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帰れない山

Le otto montagne/監督:フェリックス・バン・ヒュルーニンゲン、シャルロッテ・ファンデルメールシュ/2022年/イタリア・ベルギー・フランス

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年5月5日です。2022年第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。

あらすじ:幼馴染と山にこもります。

ネタバレはありません。

子供時代。都会育ちのピエトロは、家族と一緒に休暇で山に来ていた。そこで同い年の牛飼いブルーノと出会う。時は流れ、父の訃報を受けて山へ来たピエトロとブルーノが再会する。ブルーノは、ピエトロの父と交わした約束を守ろうとする。

思春期のピエトロは父を避けるようになり、一緒に山へ登ることもなくなっていた。その間、ブルーノがピエトロの父と過ごしていたのだった。そして交わされた約束とは、山に家を建てること。というわけで31歳になったピエトロとブルーノはふたりきりで家を建てる。材料を運び、モルタルと石を盛って壁を作る。ピエトロは思った。父に反抗せずにいれば、父とふたりで過ごした時間ももっとあっただろう、と。

雄大な自然と動物たち、牧場で休みなく働くブルーノ。子を持ち、地に足をつけて生きる彼の様子を見ていたピエトロは、自分には何もないのではないかと悩むことになる。そしてピエトロがとった行動は……。

「帰れない山」というタイトルの意味が最初わからなくて、家を建てているのだから帰る場所になりそうなのにな、と思っていたら、中盤でなんとなくだけど意味がつかめた気がする(映画のラストで明確にその意味は語られるのだが)。私がこの映画を見ていて、それをつかめた出来事は、ピエトロが自分探しの旅に出るところからの一連の流れだ。ピエトロにとって父と過ごした山は安住の地ではなかった。それがわかっただけでも、ブルーノとふたりで過ごした時間はピエトロには価値のあるものだったのではないか。衝撃的なラストに人生を見た。

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