Kfc
Kfc/監督:レ・ビン・ザン/2016年/ベトナム
© Le Binh Giang/MAP×Cinemago
マスコミ試写で鑑賞。2024年7月20日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
卒業制作として企画したけれど、あまりの残酷さに大学側が却下し監督はのちに退学処分、ベトナムでは公開不可となった、いわく付きの1本です。
あらすじ:人を殺して食べます。
※ネタバレはありません。
タイトルの意味を考えたことがなく、人から「ケンタッキー・フライド・チキンだよね?」と言われるまで気づいていなかったわけですが、最初のワンカットでもろにケンタッキー・フライド・チキンが出てきて「本当にそれだったんですか?!」という驚きがありました。
出演者の演技のクオリティはそんなに高くなくて棒読みっぽいですね。ベトナム語を正しく発音した音声を聞いたことがないので正確にはわからないですが……。たぶん、こういう映画は高い演技力よりもパッと見のインパクト重視かと思うので、特に気にはならないです。いかにもセリフっぽいセリフはあんまりないです。
そういえば、食人表現がある映画を初めて観たかも? いや、『羊たちの沈黙』(1991年)や『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)みたいなのは観ていますが、カニバリズムをメインとした映画は初めてかもしれません。血糊がだいぶリアルな色と質感だったり、ホルマリン漬けにされている、人だった物の造形なんかもよく出来ているなと思いました。でも意外と、人を殺すときの肝心なシーンは見せてこないですね。映さないのが単純に予算の問題だったとしたら、今後もこの監督がこの路線で行く場合、いろいろな映画賞をとったようですし、もっと予算つくでしょうから、しっかりグロい映画を撮れる気がします。
しかも実は私、瞬間瞬間で何が起きているのかはかろうじてわかったものの、全体を貫いている大きな話がわからなくてですね。観終わってから資料を読んで、「そういう話だったのか!」となりました。また、ベトナムの映画も初めて観たみたいです。みたいです?(観終わってからベトナム映画 おすすめ人気ランキング 111作品 | Filmarks映画をざっと読みましたが1本も観ていませんでした)そういう意味では、ベトナムの町並みや文化的な側面を観られたのは大きな収穫です。知らない街を観られるのも映画の醍醐味の一つだと思っているので……。どこの国にも「悪趣味」を「趣味」とする人はいるんだなあと思いました、一番の収穫はそれかもしれません。悪趣味で世界とつながる。世界平和ですね。