ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命/英雄じゃない、奇跡じゃない

戦争映画
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ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

One Life/監督:ジェームズ・ホーズ/2023年/イギリス

新宿ピカデリー スクリーン9 J-10で鑑賞。アンソニー・ホプキンスの主演作なので観ました。相変わらず予告は観ず、内容は「アンソニー・ホプキンスが主演の『シンドラーのリスト』みたいな映画でしょ」という程度のぼんやり感でしか把握していませんでした。

あらすじ:子供を助けます。

ネタバレはありません。

1938年。ナチスから逃れ、プラハで生活をしていた大勢のユダヤ人難民がいました。


ニコラス・ウィントン(アンソニー・ホプキンスジョニー・フリン)は、子供たちをイギリスへ避難させようとするのですが……。

最初に書いておくと、邦題(副題)が本当によくないです。長くて覚えづらいし、「奇跡」っていうと急に安っぽくなるし、「6,000」っていうのも内容を勘違いさせるし。でもこういう売り方になっちゃうのかな。

映像的な表現で面白みのあるところは特にないですね。ストーリーは手堅く、地味で、誠実で、真面目です。これは「良くなかった」という意味ではなく、「変にひねっていない」ということで、総括するととても良かったです。こねくりまわしていないので、スッと心に入ってくるんですよ。そして信じられないくらい泣きましたね。私は、泣いた映画の評価がどうしても高くなりがちです。感情に訴えかけてくるのって、作品としてとても強いから仕方ないかなと思っています。

自分で自分に驚いたのが、イギリス行きの列車に乗る子供たちと、その親が別れるシーンですごく泣いてしまったんですよね。私は前々から書いているとおり、子供があんまり好きではないので、今まで子供絡みの映画で泣くことはほとんどなかったんです。しらっとしちゃって。今作でなぜこんなに泣いたのかなあと考えていたのですが、まあまあ、これは音楽です、おそらく。エモーショナルな音楽で泣かせにかかってきているので、自動的に泣いてしまうというわけ。映画のプロが泣かせに来たら、そりゃ泣いちゃうよ。私、そんなにひねくれてもいないしさ。

ニコラス・ウィントンは、ごくごく普通の人です。英雄になりたかったわけではなく、自分にやれることを真剣にやった結果、人を助けることができた、多くの子供の命を救うことができた、という「だけ」なんです。が、その「だけ」をできる人って、なかなかいません。それに彼は、自分が多くの子供たちを救ったことについて、人に「自慢」だと受け取られるかもしれないとすら思っているのです。救えなかった子供たちに対して後悔しているし、救えた子供たちが今、どういう人生を歩んでいるのかも考えないようにしているんですね。子供たちのことについて人に話すとき(字幕の訳し方の加減かもしれませんが)、ちょっとだけ突き放したような言い方をするんです。「救えなかった子供には運がなかった」と。私はこの言い方がけっこうショックでした。言い方……って思ったんですが、ニコラスにとっては「運」だと捉えないと自責の念に駆られるのかもしれません。とても責任感の強い人だなと思うので。

アンソニー・ホプキンスはめちゃくちゃキュートでした。ピアノを弾いたりエプロンつけたりするよ。そしてしみじみと「名優だなあ」と思いました。過剰さがないんですよね。今作では声を荒らげるようなところも特になく、自然で、息をするように演技をするというか。それから、彼がひどい目に遭わなかったところも良かったです。おじいちゃんがひどい目に遭うとつらいですからね。しかし、アンソニー・ホプキンスももう86歳ですか……。先日、ドナルド・サザーランドが亡くなって大変しんどかったですね。うーん。話がそれたし、アンソニー・ホプキンスは元気なのであんまり暗いことを考えるのはやめます。おすすめです。

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