アメリカン・フィクション
American Fiction/監督:コード・ジェファーソン/2023年/アメリカ
Amazonプライムビデオで鑑賞。話題になっていたのは知っていて、観るタイミングをはかっていましたよ。
あらすじ:冗談で書いた本がベストセラーになります。
※ネタバレしています。注意書きはありません。
作家のモンク(ジェフリー・ライト)は、作品に「黒人らしさ」がないと評され、スランプに陥ります。さらに姉が突然亡くなり母親はアルツハイマー病を患ってしまい、金はなく、行き詰まったモンク。そんな折、彼が自棄酒を飲みながら冗談で書いた「ステレオタイプな黒人小説」がなんとベストセラーになってしまい……。
モンクが文学賞の審査員に選ばれたときに、「多分そうなるんだろうな」と(おそらくこの映画を観た全員が)思ったように話は進んでいきます。そして審査員の中で、ベストセラー作家の黒人女性だけが、モンクが偽名で書いた本の問題点を指摘するんですね。ここについて、「さすが、同じ人種だと”わかる”んだな」という気持ちになったなら、それはあんまり良くないなと思いました。なんて言ったら良いかわからないけれど。
と、思いを巡らしていたとき、彼女が述べる「人が望む、喜ぶものを書いて与えること」についてが、あまりにも、売れる作家らしさにあふれたもので感銘を受けました。彼女は一本筋が通っているし、ビジネスのこともわかっているが、真実はそうではないこともわかっているように思います。実にクレバーなやり方で生き抜いているんだなあと思って、いいなあと。口をぱくぱくさせている池の鯉に、ちぎったパンの耳を与えるようなかんじ。この映画に出てくる登場人物の中で一番好きですね。
後半で、今までモンク自身が体験したふうに描かれてきたことについて、部分的には彼の創作だったことがわかるところ(映画を撮っているシーン)がすごく良かったと思います。部分的にではなくすべてが創作だったかもしれないけど、そこがね、良いじゃないですか? こんなふうにきれいに騙されると、やられた! と思うと同時に、そう来たか! と心を動かされるので。
多分この映画の監督も原作者も、『RHEINGOLD ラインゴールド』を好きじゃなさそうだなって思いました。『RHEINGOLD ラインゴールド』はドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ合作の映画だし、主人公はクルド系だけど、なんとなくね。好きじゃなさそう。私は好きですが……。


