満ち足りた家族
보통의 가족/A NORMAL FAMILY/監督:ホ・ジノ/2024年/韓国
マスコミ試写で鑑賞。2025年1月17日(金)全国ロードショー。原作小説『The Dinner』(2009年)は未読です。また、オランダで2013年に『Het diner』のタイトルで映画化、イタリアで2014年に『われらの子供たち(原題:I nostri ragazzi)』のタイトルで映画化、アメリカで2017年に『冷たい晩餐(原題:The Dinner)』のタイトルで映画化されていますが、いずれも未見です。先に書いちゃいますがおすすめです。ぜひ観て欲しい。
あらすじ:金持ちの兄弟がいました。
※ネタバレはありません。
弁護士の兄ジェワン(ソル・ギョング)と医者の弟ジェギュ(チャン・ドンゴン)は、それぞれに家庭を持ち、何不自由なく生活していました。
普段、予告からわかることまでをネタバレではないと判断しているのですが、この予告は、確かにネタバレではないんだけれども、観ない方が良いかもしれないなと思います。難しいな。
弁護士は、お金のためなら殺人犯でも弁護するタイプの人です。一方で医者は常に道徳的であろうとする人です。弁護士の娘は母親と血が繋がっておらず、母娘の関係は冷え切っています。医者の妻は、認知症の義母の面倒を見ていました。彼らは月に一度集まって高級レストランで食事会をしていますが、弁護士夫婦がつねに優遇され、兄弟間には格差が生じていました。
弁護士と医者、両方とも社会的地位は高いし、金銭的余裕があると思うんです。この映画では弁護士家族の方がかなり裕福な暮らしをしていて、医者の方は貧しいとは言わないけれど普通よりは良い暮らしをしているようにみえます。そんなふたつの家族が、ひとつの事件をきっかけに崩壊していくようすを描いています。
私の中での衝撃度合いでいくと『ソフト/クワイエット』(2022年)にかなり近いかもしれません。ストーリーや技術的なことが似ているとかではないです。私の基準だから伝わりにくいとは思いますが……。ラストで声が出てしまいました。衝撃すぎて。そういう幕引きをすると思っていなかったんですよね。でも、声が出るほど驚きつつも、「ここで終わって欲しい!」と強く思ったところできっちり終わって、たいへん満足感が高かったです。『ソフト/クワイエット』は「あと3分短ければ!」とは思ったので、終わり方の良さという意味では『満ち足りた家族』の方に軍配があがるかな、私の基準ですよ。
この物語には、加害者と被害者が出てきます。加害者の言い分には心の底からゾッとしました。こんなに肝が冷える描写もなかなかないな、というくらい。人の心がない。人間じゃないですよ。おすすめです。怖いよ。胸糞映画って言う人もいそう。