ガール・ウィズ・ニードル
Pigen med nalen/監督:マグヌス・フォン・ホーン/2024年/デンマーク・ポーランド・スウェーデン合作
マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年5月16日です。2024年第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品、第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネート。
あらすじ:子供を養子に出します。
※ネタバレはありません。
カロリーネは、務めている縫製工場の社長と良い仲になります。ある日、戦争へ行き1年以上行方不明になっていた夫がカロリーネのところへ帰ってきました。社長の子供を身ごもっていたカロリーネは夫を罵倒し、家から追い出します。
社長は身重のカロリーネと結婚しませんでした。お屋敷暮らしを夢見ていた彼女は頼るものをなくしてしまいます。そして、養子の仲介人であるダウマという女性と知り合うのでした。
衝撃的なシーンの連続で思わず目を背けてしまうようなときもありました。顔のない夫、公衆浴場で堕胎しようとする女、歯が生えた子供に乳を与えるようす、真っ黒い血液、虚ろな瞳、道端で行われる性行為。貧しさからどうにかして逃げ出そうとしていたカロリーネが、無償の愛と金目当てで社長と結婚しようとしたことを責められる人はいるのでしょうか。誰だって愛されたい、誰だっていい暮らしがしたいんじゃないかと私は思います。それほど、カロリーネの置かれた境遇は悲惨なものでした。もちろん、だからといってかつては愛した夫を罵倒し、消えろと罵ることの理由にはならないかもしれませんが……。
ダウマから「あなたは正しいことをした」と言われたカロリーネは、きっとどこか安心したのではないかと思います。陰惨な世界観と、モノクロの映像がとてもあっていました。