これらが全てFantasyだったあの頃。
監督:林真子/2024年/日本
マスコミ試写で鑑賞。2025年9月5日(金)からシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』ほか順次公開。映像制作集団「世田谷センスマンズ」に所属する林真子が長編初監督を務め、ぴあフィルムフェスティバル2024で審査員特別賞を受賞した作品。
あらすじ:留学するので、過去を思い出します。
※ネタバレはありません。
留学することを決めた俳優の塚田えみ(塚田愛実)は、引っ越しの途中で見つけた一冊の脚本をきっかけに、過去のことを振り返ります。
薄暗い部屋で独り、原稿用紙に何かを書いている青年が出てきます。たぶん、塚田の行動や周囲についてを書いていて、つまり塚田の創造主みたいなことなのかなあと思いました。説明が多い部分と極端に少ない部分があるため、わかりにくく、そのわかりにくさが逆にこの作品独自のもののように見えるところが良かったです。なぜ、塚田は宅急便の不在票を溜めているのか、なぜ、蛇口から黒い水が出るのか、なぜ、孤独な青年は頭を抱え続けるのか。なぜ、鳴りつづけるチャイムを無視し、電話がかかってきたときにはスマホごとゴミ箱に捨ててしまうのか。
気になるなと思ったところは、画面がうっすらと全体的に白飛びしているように見えることです。予告を観るとそうでもなかったりするのでよくわかりません。また、電話のシーンで誰が何を話していて、何の音楽が流れているのか、全部混じっていてわからないところも意味が掴みかねました。これらが監督にとって、こうではならなかったこだわりであったりとか、意図した演出なら良いなと思います。これは好みの問題で、私は「画面の端まで、音楽の隅々まで、つくり手がコントロールした映画」が好きなので……。
そして何よりも思うのは、この映画は塚田愛実が留学することになったために始まった企画ということで、仲間同士で仲良し小好しの思い出づくりではないといいなということです。ちょっとからめの評価になりましたが、この映画に関わった人たちの身の丈にあった作品だなと思います。等身大の姿を描き出しているというか、無理がないというか、そんな感じです。


