テレビの中に入りたい
I Saw the TV Glow/監督:ジェーン・シェーンブルン/2024年/アメリカ
マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年9月26日です。
あらすじ:現実には居場所がなかった。
※ネタバレはありません。
1990年代。毎週土曜日の22時半からやっているテレビ番組「ピンク・オペーク」に夢中だった中学生のオーウェン(ジャスティス・スミス)は、ある日、同じ番組を好きな少し年上の少女マディ(ジャック・ヘヴン)と知り合います。
監督のことを特に知らずに映画を観ながら「たぶん40歳くらいなんだろうな」と思っていたら、1987年生まれで大当たりでした。この映画に出てくる架空のテレビ番組「ピンク・オペーク」のラスボス、ミスター憂鬱のデザインを見て「『月世界旅行』(1902年)だな」と思うと同時に「『Tonight, Tonight』(1995年)だな」と思い、そこから「40歳くらいだろう」と目星をつけたわけです。
いやいや、『Tonight, Tonight』は『月世界旅行』のオマージュなんだからここは元ネタの『月世界旅行』の方でしょ、と思うのもわかるんです、わかる、そうだよね! でも、劇中で『Tonight, Tonight』のカバーが流れるので……。スマッシング・パンプキンズの曲ってそんなに映画で使われないから、ちょっとでもあるとこっちは舞い上がるんです。悲しき90年代の亡霊ですね。この映画を観て、あの頃っぽい音楽がたくさん流れて、この監督、仲間だな、とか思いかけたんですが、あの頃の曲は『Tonight, Tonight』とBroken Social Sceneの『Anthems For A Seventeen-Year-Old Girl』(2002年)(のカバー)、2曲だけだそうです。勝手に亡霊仲間だと思って申し訳なかった、ちゃんと前に進んでいる人だった。そうだよね、いつまでも「あの頃」から抜け出せないのは良くないよね。ノスタルジーだけではご飯を食べていけないから。
映像について、真夜中になりきらない夜の感じとか、ピンクやパープルのネオンカラーとか、人のいないゲームセンター、建売住宅の並ぶ道路等がドリームコアっぽくて、ドリームコアがそもそも子供時代を思い返させるようなものであるので、この映画は全体的に私を子供にしてしまうな、と思いました。私は日本にしか住んだことがないし、アジア人だし、90年代の亡霊と言ってもアメリカの90年代がどうだったかはわからないから、監督の意図を理解できているかというとわからないけど。と思って、監督の過去作を探していたら、MVがあったんです。
ちょっと! 『オズの魔法使』じゃない! しかもしっかり1939年の。私、『オズの魔法使』がオールタイムベストなんですよ。そういうふうに私の心をえぐってくるのやめて!


