ペンギン・レッスン
The Penguin Lessons/監督:ピーター・カッタネオ/2024年/スペイン・イギリス合作
マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年12月5日です。
あらすじ:ペンギンを助けます。
※ネタバレはありません。
1976年のアルゼンチン。英語教師のトム(スティーヴ・クーガン)は、特権階級の生徒だけが通う学校に赴任します。校長は政治的な発言を禁じ、生徒たちを甘やかしていました。そんな折、トムは旅先で出会った女性と海辺で重油にまみれたペンギンを助けます。女性にふられてしまったトムのもとにはペンギンだけが残り……。
ペンギンを学校で飼って、かわいいね。というハートフルコメディで終わるはずもなく、軍事政権下の不安定な社会で登場人物がどう生きるかという話でもあります。
この映画は事実にもとづいていますが、ペンギンは飼育が非常に難しい生き物であるため、本当にこれで大丈夫なのだろうかという不安がよぎります。いま、映画製作に動物を使った場合、絶対に動物を傷つけてはならないし、この映画もエンドロールの最後に「動物は傷つけていません」と出てきます。実物とCGの区別って、もうつかなくなっていると思っていて、この映画が撮影に生きたペンギンをどれくらい使ったかは製作側が公表しないかぎり想像でしか語れないので……。もし鑑賞中に実際のペンギンの健康について考えてしまい話が頭に入ってこなくなるとしたらもったいないので、どこかで公表してくれないかなーとは思います。
この映画ではトムは50代後半ですが、実際のトムはこのとき20代前半でした。映画におけるこういった改変は面白いなと思っています。改変するのには理由があるし、それは興行成績を上げるための作戦だろうと思うからです。この映画のターゲット層を仮に40代以上だとしたら、20代よりも感情移入がしやすく人生経験が豊かで隠された過去がある50代を主人公に据えることは不思議ではないなと思います。妄想です。
なんといってもペンギンがかわいくて、観ているとついにこにこしてしまったり、登場人物たちについても、だんだん明らかになっていく過去があったり、ペンギンの存在によって変化する人びとの行動を愛おしく感じられる、良い映画だと思いました。


