オリビアと雲
Olivia & Las Nubes/監督:トーマス・ピカルド=エスピラット/2024年/ドミニカ共和国
マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年1月24日です。
あらすじ:2組の男女がそれぞれの恋愛をします。
※ネタバレはありません。
ドミニカ共和国の映画を初めて観ました。ストーリーについては説明がかなり難しく(実際のところは難しい内容ではないのに……)、とても変わった作品で素晴らしかったです。
漫画のコマ割りのようなスプリットスクリーンや、ちぎった段ボール、土や植物、彩度の低い実写、クレイアニメーションなどを巧みに用いた手法がとても斬新で、それでいてどこか懐かしさも感じられます。音を模様で表したり人物の移動を紙がくちゃくちゃになる様子で表現したりするのも物珍しく、印象に残りました。
カラフルで少し不気味さのある映像はまるで子供の頃に見た夢のようです。たぶんこういうことを書くのは初めてだと思いますが、私は14歳頃まで眠りにつくときに光る妖精のサーカスを見ることがありました。今思えば入眠時の浅い夢なのですが、光る妖精以外は起きているときと同じものを見ていたので、しばらく現実だと思っていたんですよね。ともかく、掛け布団の上に光る線を持った妖精が現れ私が命令するとその通りに動くのが面白かったです。これはあくまで私個人の、しかも夢の話なので書いても伝わらないだろうとは思いつつ、この映画を観て真っ先に思い出したことなので書いています。何を思い出すかは人それぞれだと思いますが、他の人がこの映画を観ても子供の頃の記憶が呼び起こされることがあるのかもしれません。
全体的にトーンが統一されているため、2次元になったり3次元になったりしても違和感がなく同一の世界観として自然に受け取ることができました。理解できるというよりも感覚的にすっと馴染むというほうが近く、まったく異なる作画の人物が同時に現れるような場面でも不自然さを覚えることはありません。プレス資料によると12人のアニメーション・アーティストが参加しているそうで「全員が同じツールを使えるわけではないため、統一されたスタイルで全編を描くことはできない」とも書かれていましたが、それでもなお作品全体に一貫した印象が保たれているのは、音楽や音響の効果もありますし、監督のテクニックによって巧みに統一感が生み出されているからだと感じました。おすすめです。


