幸せの、忘れもの。
Deaf/監督:エバ・リベルタ/2025年/スペイン
マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年5月1日です。
あらすじ:聞こえない妻と聞こえる夫。
※ネタバレはありません。
ろう者のアンヘラと聴者の夫エクトルは、手話を通してコミュニケーションをとり、幸せに暮らしていました。
こういうふうにろう者を描いた映画は珍しいのかなという印象です。生活の中でのちょっとした出来事が、アンヘラとエクトルには大きな障害になることもあり、一方で、お互いに「わかりあおう」とする態度でふたりの絆が深まるということもあります。ところが、ある出来事をきっかけとして、ふたりはすれ違いはじめるのでした。
その出来事というのは、ふたりの間に子供が生まれることなんですね。どう考えてもハッピーなその出来事は、アンヘラとエクトルの仲を少しずつぎくしゃくさせていくのでした。
一昨年あたりから、ろう者を扱った映画を何本か観てきて、この映画が一番現実的だなと思いました。ひどいものもあるんですよ、「ろう者かどうかは顔を見ればすぐわかる。彼らはいつも微笑んでいる」って言っちゃう映画とか。ラブストーリーで、「ほんとは聞こえてました〜」っていうオチだったりとか。それはさ、やったらダメでしょ。
アンヘラとエクトルの間に起きることで、これは残念だなあ、というか、悲しいな、という出来事のひとつに、「娘がしゃべった嬉しさを共有できない」ことがあると思います。おそらく現実にはもっとたくさん、共有できないことがあるでしょう。わかりあえなさを抱えながら、わかりあおうとすることの尊さを描いていると思いました。


