エレノアってグレイト。
Eleanor the Great/監督:スカーレット・ヨハンソン/2025年/アメリカ/© 2025 ELEANOR INVISIBLE FILM, LLC AND TRISTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年6月12日です。スカーレット・ヨハンソン長編初監督作品。
あらすじ:親友を亡くしました。
※ネタバレはありません。
ニューヨークのアパートで仲良く暮らしていたエレノア(ジューン・スキッブ)とベッシー(リタ・ゾーハー)。ベッシーがこの世を去ったことで、エレノアは心に穴が空いたように感じていました。
スカーレット・ヨハンソンはユダヤ系アメリカ人です。自身のルーツとユダヤカルチャーを重視した物語は、コミカルでありつつも、ホロコーストという人類の歴史上最も愚かと言ってもよい出来事を扱うことに対する覚悟のようなものを感じます。
映画に出てくる孤独な老人あるあるですが、エレノアは良くも悪くもずけずけと物を言うタイプです。娘は自分を施設に入れようとしているし、孫は何に対してもあまり興味はなさそう。そんなある日エレノアは、お茶会のつもりで出かけた先で、ホロコースト生存者の自助グループの会に迷い込んでしまうのでした。
うっかりついてしまった嘘が人を傷つけ、信頼を失うことは珍しくないです。それが悪意のない嘘だったとしても、言ってしまった言葉をあとから変えることはできません。謝罪で済めば良いこともありますし、ずっと先まで心に恨みやわだかまりが残ることもあるでしょう。自分の発言がきっかけとなって人間関係が壊れ、二度と元には戻らないと解ってしまったときの後悔は、人生のうちで何度も経験したいものではありません。嘘の種類にもよると思います。「それは絶対に言ってはいけない」という嘘もありますよね。この映画では、エレノアの嘘が大きくなりすぎてしまい、次第に彼女の手に負えなくなっていきます。
ホロコーストを実際に経験し、そのことを語れる人は、どんどん減っていきます。忘れてしまってもよい出来事ではないし、語り継ぐべきだと私は思います。スカーレット・ヨハンソンがこのような内容の映画を撮ったことはとても理解できるなと思いました。そして特筆すべきはベッシー役リタ・ゾーハーの演技です。出番こそ少ないものの、観客に強烈な印象を与えるだろうなと思います。キャステングも含めて、スカーレット・ヨハンソンがこの映画に対して込めた思いが伝わってくるようでした。静かながらも胸を打つ作品です。おすすめです。


