ユースフル・ゴースト/死にづらい世界

SF
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ユースフル・ゴースト

A Useful Ghost/監督:ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク/2025年/タイ・フランス・シンガポール・ドイツ合作

マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年7月10日、R18+です。

あらすじ:死んだ妻が掃除機になって戻ってきた。

ネタバレはありません。

最愛の妻ナットを呼吸器疾患で失ったマーチは、悲嘆に暮れる日々を過ごしていました。そんな折、彼の前に赤い掃除機が現れて……。

以前、タイ映画で霊が出てくる『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』(2023年)を観たときにも思いましたが、独特の死生観があるなと思います。『ユースフル・ゴースト』は、タイの怪談「メー・ナーク・プラカノーン」から着想を得ており、タイの人びとに親しまれた物語であることがわかります。

この映画の霊は実体をもち、生きている人間に干渉することが可能です。しかし、生者が死者を忘れてしまうと、霊は消えてしまいます。この物語は、「忘れてしまうこと」についてを大きく扱っています。

「死んだ妻が掃除機になって戻ってきた」という短いあらすじからは予想もできない展開を見せ、驚愕のラストへと集約していくこの物語は、愛をどのように扱うかや、タイにおける信仰について、また、「人の役に立てば、存在を許される」という、ある意味で非人道的な価値観についてが描かれています。有用性がなければ存在することそのものすら許されないというのは、いずれ自分の首を絞めることに繋がる考え方だと思いますがいかがでしょうか。

コミカルなシーンも多く、軽く観られる映画かなと思いきや、意外と人間の芯の部分に言及するようなところもあるこの作品について、一見奇妙と思える語り口が気づくと癖になる感じを楽しむのがおすすめです。

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