炎上/わかんないんだ、子供のことが

クライム
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炎上

監督:長久允/2026年/日本/※この記事には広告リンクが含まれます。

U-NEXTで鑑賞。先日、『炎上』を観るか『東京逃避行』を観るかで迷い、そのときは『東京逃避行』を選びました。
感想はこちら→東京逃避行/昨日の今日で出来た縁 – * FRAGILE

あらすじ:トー横キッズの実態。

ネタバレしています。

カルト宗教の信者の家に生まれた小林樹理恵(森七菜)は、妹とともに親から虐待を受けて育ちます。ある日、家を飛び出した樹理恵は、トー横へたどり着くのでした。

カルト宗教の二世を描いた映画なら、芦田愛菜主演の『星の子』(2020年)が相当よくできていました。『炎上』も宗教二世の少女の話から始まりますが、途中から舞台はほぼトー横へ移ります。

家族のもとから逃げた樹理恵は、トー横で、新しい名前である「じゅじゅ」と、寝る場所や食べ物、スマートフォン、仕事を与えられます。家にいたころと従う相手が変わっただけにも見えます。宗教二世であることと、トー横が新たな宗教のようになっていくことを繋げたかったのだと思いますが、あまりうまくいってはいないように感じました。

現在の新宿の街並みを撮ってあるというだけでも、この映画には価値があります。数年後に観たら、また違って見えるでしょう。三ツ葉(アオイヤマダ)の荒れた肌など、そこでの生活が身体に表れている部分には現実味がありました。それにしても、森七菜が本当に10代に見えるのはすごかったです。『マッチスティック・メン』(2003年)で少女を演じたアリソン・ローマンを思い出しました。実際の年齢よりずっと幼く見えることが、じゅじゅの危うさにもつながっています。

ただ、トー横を過剰に美しく、あるいは扇情的に撮ることには危うさがあります。『炎上』は現実に近づけるよりも、強い色や音を使ったフィクションとして見せる映画です。そこにいる若者たちにも、服装やしゃべり方のわかりやすい特徴がつけられています。これは人間を描こうとしているのか、社会現象を描こうとしているのか。最後まで、どちらなのかよくわかりませんでした。どっちつかずという意味です。

映像演出は若干ダサく見えますが、この内容なら合っているのかもしれません。リアルに寄せるのか、フィクションとして押し出すのか。観客の手をどこまで取って、どこまで連れていこうとするのか。『炎上』はかなり強く手を引く映画でした。途中までは。

じゅじゅが売春を始めようとするあたりから、物語は少し失速します。そして終盤になると撮り方が急に中島哲也監督の映画のようになったり、ラストにはドリームコアを思わせる映像が出てきます。私はあれを悪趣味だと思いました。じゅじゅたちが受けてきた苦痛が、最後にのっぺりとしたきれいな映像へ加工されてしまったように見えたからです。

などと、マイナスな印象の方が強かったですが、実際のところはけっこう興味深く観ました。退屈だったわけでもありません。それなのに、心に残るものが何もない。そういえば、登場人物を紹介する場面で、「虚無」があるかないかによってトー横のグループに入れるかどうかが決まる、と言っていました。あれだけ色と音と事件を詰め込んだこの映画にも、最後には同じような虚無だけが残っていたように思います。その虚無まで含めて描いたのだとしても、私は置いていかれたままでした。ジェネレーションギャップかもしれませんね。

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