グレイ・ミッション/金は返してもらいます

アクション、アドベンチャー
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グレイ・ミッション

In the Grey/監督:ガイ・リッチー/2026年/アメリカ・イギリス合作/© 2026 HACIEDA PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

試写鑑賞。公開は2026年8月21日です。

あらすじ:奪われた10億ドルを奪い返せ。

ネタバレはありません。

元イギリス海兵隊のシド(ヘンリー・カヴィル)と元アメリカ海軍のブロンコ(ジェイク・ギレンホール)は、敏腕弁護士レイチェル(エイザ・ゴンザレス)に雇われ、独裁者サラザール(カルロス・バルデム)に奪われた10億ドルを奪い返そうとします。

最近映画を観る気力が落ちており、「ちょうどいい映画」が観たいなと思っていたところでした。ガイ・リッチー監督作なら「ちょうどよさ」がありそうだと思って観た次第です。

ガイ・リッチーというと、スタイリッシュな映像表現が特徴のように思います。今作もかっこいい絵がないとは言いませんが、これまでよりは控えめな印象でした。観客が想像し得なかったかっこよさより、こういうカットの次にはこういうカットが来るよね、という、ある意味こちらの予想に答える作りだったとも思います。最近の私が求めていた「ちょうどいい映画」としては、実際ちょうどよかったです。

実のところ私は、レイチェルが何をやっていて、それがなぜサラザールの不利益になるのかということを、順序立てて説明するのが難しいです。映画として、かなり簡単に状況説明をしてくれているのですが……。映画を観ているあいだは、なんとなく話についていけているような気がするのですが、ではレイチェルの計画を最初から説明してくださいと言われると、もう無理です。これはこの映画に限った話ではありません。一時期のヒーロー映画なども、私は地のストーリーをよく理解しないまま観ていたことが多かったです。作戦とか手順とか、誰が何をどこへ運んで、それによって誰が困るのかとか、そういう話になると難しいんですよね。誰かが「これで奴は終わりだ」みたいなことを言っているので、そうなんだ、終わりなんだなと思いながら観ている。

グレイ・ミッション』も私をかなり混乱させました。しかし、映画自体はとても面白いのです。何を話しているのかはよくわからないのに、映画としては面白い。この感触にいちばん近かったのは『女神の見えざる手』(2016年)でした。話が似ているわけではありませんし、『女神の見えざる手』には爆発や撃ち合いなどはありません。私の中で「やっていることはわからん、映画としては面白い」という場所に、両作が並んでいます。

そんな状態でも、レイチェルが人を動かすことに長けた人物であるのはよくわかります。

レイチェルは自分で直接手をくださず、雇った屈強な男たちに自身を守らせているように見えます。ただ、シドやブロンコらが、彼女が女だから、あるいは弱い存在だから守っているようには見えないのです。シドとブロンコは、レイチェルのことを「ボス」と呼びます。まあ、字幕が「ボス」なのは納得なんですけど、ともあれ、彼らのレイチェルに対する言動は一貫して「目上の人への態度」なんですよね。雇われているからという単純な繋がりだけではないような気もします。

一方、敵であるサラザールは、レイチェルのことを「あの女は賢い」と評します。サラザールはおそらく彼女のことをよく知らないので、散々いろいろな方法で痛めつけられたあとでようやく「賢い」などという言い方をするのかなと思いました。ちょっとレイチェルを見下している(いた)気もします。レイチェルは賢いというか、人の気持ちをよく把握している人です。誰が何のために動くのかを理解したうえで、必要な人間を必要な場所に置く。自分が戦わなくても、自分の望む方向へ物事を動かすことができます。彼女が実際に何をしているのかは私にはうまく説明できないのですが、人をどう使っているのかは見える。この人物の面白さも、そこにあるように思いました。

映画の中で起きる激しい撃ち合いを、レイチェルがまったく予測していなかったはずはありません。そう考えると、人が死ぬ可能性まで含めて計画を進めていたことになります。人を殺してでもやらなければならないことがある。ただ、そのために屈強な男たちを集め、何人死ぬかわからない仕事へ送り込むレイチェルは、なかなか食えない人物です。頼もしく見える一方で、少し怖くもありました。

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