ジュリーは沈黙したままで/子供らしさを閉じ込めて

人間ドラマ
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ジュリーは沈黙したままで

Julie Keeps Quiet/監督:レオナルド・ヴァン・デイル/2024年/ベルギー・スウェーデン合作

マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年10月3日です。

あらすじ:信頼していたテニスのコーチが指導停止処分を受けます。

ネタバレはありません。

ベルギーのテニスクラブに所属しているジュリーは実力があり、周囲からも認められていました。ところが、彼女のコーチであるジェレミーが指導停止処分を受けてしまいます。それは、ジュリーと同じくジェレミーから指導を受けていたアリーヌが、なんらかの理由で自殺したためでした。

クラブの関係者は、選手みんなと面談をして、いったいなにがあったのかを聞き出そうとします。ジュリーはベルギーテニス協会の選抜入りテストが迫る中、日々の練習をきっちりとこなしていました。ただ、ジェレミーのことについては頑なに口を閉ざしたままでいます。

見た目が大人びていたので大学生くらいかなと思っていたら、ジュリーは15歳でした。自分の15歳のころのことを思うと、こんなに落ち着いて話をして親にも友人らにも甘えずに、淡々と日々を暮らし練習に打ち込んでいるジュリーがあまりにも「よくできた子供」に思えます。そんな「よくできた子供」であるジュリーが、ジェレミーのことを半ばかばうようにしているのは何故なのだろうと思うのです。本当になんにもなかったのなら、ないと言えばいいんです、ジュリーは自分の意見をきちんと言える子供なので。でもただひたすらに口をつぐむことは、周囲からジェレミーと何かあったのではないかと邪推されるのには十分な態度だと思うんですよね。果たしてこれを「強靭な精神力」と言ってよいのでしょうか。なすすべもなく、ただ黙ることでしか自分の意思を表せないのは、確かに彼女自身の精神に大きな負荷がかかります。その負荷にジュリーが打ち勝っているかというと私にはそうは見えなかったし、彼女の本当の気持ちについてを明示的に表しているシーンもありました。

この映画のエグゼクティブプロデューサーには大坂なおみ選手が名を連ねています。彼女のプロデビューは15歳、ジュリーと同じ年齢です。私はスポーツにはまったくと言っていいほど興味がないのですが、以前から気になっていたことがひとつあります。それは、テレビで見る10代のスポーツ選手がほとんどみんな落ち着いてインタビューに答えているようにみえることです。具体例を書こうかと思いましたがやめときます。とにかく、「スポーツ選手とはかくあるべし」を叩き込まれているように見えるんですよね。その溌剌とした表情の裏で何が起きているのか、あるいは何も起きていないのか? ということに多少なりとも心を向けるきっかけとして、この映画は十分に役割を果たしていると思いました。

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