これからの私たち All Shall Be Well
従今以後 All Shall Be Well/監督:レイ・ヨン/2024年/香港
試写で鑑賞。公開は2025年12月13日です。2024年・第74回ベルリン国際映画祭で、優れたLGBT映画に与えられるテディ賞を受賞。第43回香港電影金像奨で作品賞ほか5部門にノミネート。
あらすじ:彼女が死んだ。
※ネタバレはありません。
香港。60代のレズビアンカップル、パットとアンジーは、ふたりで仲睦まじく暮らしていました。ところがある日、パットが突然亡くなってしまいます。
具体的な死の描写がなく、日常からふっとパットが消えてしまうようすがかえってリアルに思えました。パートナーを失う物語というとどうしてもエモーショナルな瞬間を入れたくなりそうだし、こちらとしてもそういった描写が入ってくるだろうと身構えていたところに突然、静かにやってくる死は、それがとても大きいものであると同時に、遺された者にとっては人生のうちで乗り越えなければならない幾多の出来事のひとつにすぎないと突きつけられたような気持ちです。
なぜ死の描写があれほど抑えられていたのかと考える間もなく、その理由は明かされます。パットをどう弔うのか、そして遺言のないまま相続をどう扱うのかという、アンジーにとって突然現れた大きな壁が立ちはだかるのです。それまで、アンジーに対してとても温かく、まるで家族の一員のように接してくれたパットの家族や親戚らが、状況の変化とともに彼女に対してよそよそしくなり、距離を置きはじめるようすは、制度や立場が人間関係に大きな影響を及ぼす現実を突きつけてくるようでした。
「契約書に名前がない」というただそれだけのことで、どれほど多くの権利や選択が左右されてしまうのか。法律上の定めによって利益や権利が発生しないこと自体は仕組みとして理解していますが、それでも、いえ、そうであるからこそ、誰もが大切な人と築いた関係を社会に認めてもらえる状態が重要だと思うのです。


