喝采/私が私でいられるうちに

人間ドラマ
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喝采

The Great Lillian Hall/監督:マイケル・クリストファー/2024年/アメリカ

マスコミ試写で鑑賞。2026年1月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほかにて全国公開。

あらすじ:セリフが言えなくなった。

ネタバレはありません。

ブロードウェイで活躍してきた大女優リリアン・ホール(ジェシカ・ラング)は、公演を間近に控え稽古に励んでいました。ところが、セリフを飛ばしたり登場を忘れたりするため、演出家から病院を受診するように言われます。

認知症を描いた映画は少なくないです。なかでもアンソニー・ホプキンスの『ファーザー』(2020年)は素晴らしかったですね。また、ギャスパー・ノエの『VORTEX/ヴォルテックス』(2021年)、約10年前になりますがジュリアン・ムーアの『アリスのままで』(2014年)も好きです。

この映画も、認知症と診断された大女優が、おそらく最期になるであろう舞台に立つために諦めず進み続ける姿を描いています。実在した女優であるマリアン・セルデスを元にしているんですね。映画を観終わって、予告を観て知りました。いつも本編を観るまで予告は観ないので……。そうとう脚色されているんだろうとは思いますが、実話ベースというのは素直に驚きです。

さて、チェーホフの戯曲「桜の園」を上演するためには絶対にリリアン・ホールが演じなければ観客が入らないのに、絶対にリリアン・ホールが演じられない・演じきれないという状態に陥るわけです。ジェシカ・ラングの圧倒的な演技力で表現される認知症の症状は観ていてとても不安になります。自分が自分であることが揺らいでしまう病気に罹るなんて想像できないし、したくないんですが、誰が罹ってもおかしくない病気だと思うと目を背けてばかりもいられないんですよね。

リリアンは長年の付き人であるイーディス(キャシー・ベイツ)に頼りきりで彼女を困らせるときもあるのですが、ふたりで「リリアン・ホール」という俳優を作り上げているのかなと思いました。リリアンはイーディスへ依存する一方、娘であるマーガレット(リリー・レーブ)には認知症のことを打ち明けられずにいます。マーガレットが語る過去のできごとから見ても、リリアンは母親であることよりも俳優であることを重視して生きてきたように思えます。私生活を犠牲にして成り立つ芸能活動なんてない方がいいんですが、これがリリアンの生き方で、これ以外を彼女は知らないんですよね。

ところで、私はずっと、リリアンの隣の部屋に住んでいるピアース・ブロスナンはリリアンの幻覚だと思っているのですが、いかがでしょうか?

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