旅の終わりのたからもの
Treasure/監督:ユリア・フォン・ハインツ/2024年/ドイツ・フランス合作
© 2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS/配給:キノフィルムズ
マスコミ試写で鑑賞。2026年1月16日(金)よりkino cinéma新宿他にて全国ロードショー。
あらすじ:父娘で旅行します。
※ネタバレはありません。
1991年、ポーランド。ルーシーは父エデクとともに、父の生まれ故郷を訪ねます。
エデクは、ルーシーが事前に用意していた予定をことごとく覆しながら旅を進めていきます。電車に乗ろうとすればタクシーのほうがいいと言い、泊まる場所も行き先も、ルーシーの意見はひとつとして通りません。シャワーも浴びず着替えもせず、卵の黄身で汚れたセーターを着たままのエデクは、出会う人すべてにルーシーのことを「ニューヨークで有名な記者だ」と言って回ります。ルーシーが彼の振る舞いに強い苛立ちを覚えるのも無理はなく、観ている私も同じようにイライラしてしまいました。なぜここまで言うことを聞かないのか、なぜこんなにも自分勝手なのかと。
この映画を観てまず思ったのは、どれだけ親しい関係であっても、「一緒に旅行ができるかどうか」はまた別の問題だということです。私は大人になってから家族旅行というものをほとんどしていません。理由は単純で、私がとても疲れやすいからです。観光して歩くことを好む家族と、できればホテルから一歩も出たくない私とでは、相性がいいとは言えないでしょう。一緒に旅行ができないからといって、私が家族をないがしろにしていることにはならないと思っています。
父娘が旅を続けるうちに、エデクがこの土地を訪れるのは数十年ぶりであること、かつて住んでいた家には今は別の人が暮らしていること、そしてその家に、彼や家族が使っていた家具が今も残されていることが明らかになります。ちぐはぐで不器用なふたりの旅がどのような結末を迎えるのか、その瞬間に彼らのもとへどんな思いが訪れるのか。重い題材を扱いながらも語り口は軽妙で、静かな余韻を残す作品です。おすすめです。


