クイーンダム/誕生
Queendom/監督:アグニア・ガルドノヴァ/2023年/フランス・アメリカ合作
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マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年1月30日です。
あらすじ:ロシアに若いクイア・アーティストがいました。
※ネタバレはありません。
極寒の田舎町マガダンで産まれ、祖父母に育てられたジェナ・マーヴィンは、保守的な町で生活をすることに限界を感じていました。
21歳のジェナは、クィアであるというただそれだけの理由で、街を歩けば暴力を振るわれ敵意を向けられ嫌がらせを受けます。家庭内でも祖父母、とりわけ祖父から厳しく叱責される日々を送っていました。「自分らしくあること」は、果たして罪なのでしょうか。
ジェナが置かれている状況を、日本に生まれ育った私が正確に理解できているとは言えません。本作をきっかけにロシアにおけるLGBTQ+の権利について調べ、そこで初めてロシアでLGBTQ+として生きることがいかに困難であるかを知りました。これまで私はロシアにおけるこの問題に対して興味がなかったというより、そもそも考えたことすらありませんでした。この映画は、当事者ではない私に対しても、無関係な立場に留まり現実から目を逸らし続けることの危うさを静かに突きつけてきました。当事者性とは必ずしも同じ立場に立つことだけを指すのではなく、想像し知ろうとする姿勢そのものなのかもしれないと思います。その姿勢が知らず知らずのうちに「善意」や「理解」を装った、上から目線になってしまわないよう慎重である必要もあるでしょう。
映画の中では、ジェナの性的指向について明確に断定されることはありません。一方で性自認についてはジェナ自身の口から語られます。この描かれ方は私が自分の考え方を見直すきっかけになりました。私は無意識のうちに人を型にはめて考えてしまっていたのだと思います。すべての物事について、誰かを簡単に理解したつもりになる前に、まず自分がどんな思い込みを抱えてきたのかを立ち止まって考えなければいけないなと思いました。おすすめです。


