グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー
Great Balls of Fire!/監督:ジム・マクブライド/1989年/アメリカ
こちらの記事は、2011年に書いた、グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー(Great Balls of Fire!)/ロリコン・ロックスター、ジェリー・リー・ルイスの物語 | 映画感想 * FRAGILE を一部加筆修正して転載したものです。
あらすじ:エルヴィス・プレスリーを超えるはずだったロックスター、ジェリー・リー・ルイスの妻は、中学生でした。
※ネタバレしています。注意書きはありません。長いあらすじです。
1956年、ひとりのロックスターが誕生した。ジェリー・リー・ルイス(デニス・クエイド)は、ギター全盛期の中、ピアノをメインとしたバンドで活躍する。しかし彼の妻マイラ(ウィノナ・ライダー)は、まだほんの13歳だった……。
実在するロックスター、ジェリー・リー・ルイスの伝記映画です。私は音楽にうといこともあり、ジェリー・リー・ルイスという人のことはまったく知りませんでした。ご存命なのかどうかも知りませんでした。ハッキリ言って人間としてはクズなんで、ちょっとね、破滅しちゃえ! って思いましたね。
ジェリー・リー・ルイス(デニス・クエイド)
たいへんな自信家です。デモテープ一発でデビューが決まり、「エルヴィスのレコードなんか捨てちまえ、これからは俺の時代だぜ」とおっしゃいます。最初の妻との婚姻中に2番目の妻と結婚、その後最初の妻と離婚。2番目の妻とはまだ離婚していませんが、「重婚だから、2番目は結婚自体がなかったことになってるぜ」とおっしゃいます。
マイラ(ウィノナ・ライダー)
ジェリー・リーのいとこでバンドメンバーでもあるブラウン(ジョン・ドー)の娘です。13歳です。マイラはジェリー・リーを「ロックスターでもある親戚のかっこいいおじさん」として憧れています。ウィノナ・ライダーはこのころすでに18歳なんですが、デニス・クエイドとの身長差があることと演技がたいへん子供っぽいので、子供にしか見えません。すごい。
ジェリー・リーは自分に憧れているマイラのことを好きになり、ほぼ強引に結婚してしまうんです。いろんな映画で、急に成功した主人公が調子こいて大失敗っていうのを観てきたので、この映画もそんなかんじかな? と思って見ていたら、ジェリー・リーさんのやらかしっぷりは今までとまったく違う方向で、びっくりしましたね。あと、別にこの人はいつも少女に手を出していたわけではないらしいです。
「わたしは13歳、あなたはパパと同い年なのよ!」
結婚式のシーンの直後、マイラは憮然としているんです。彼女はジェリー・リーを大人と思っている、きゃあきゃあ言ってて、憧れの対象でしかなくて、思春期らしく恋に恋してただけ。キスはしたけど、ちょっと冒険してみたかっただけ。それが突然、婚姻届を出して普段着のまま結婚式を挙げてしまって、なんでこんな、なんなの? って思ってるんだろうなあ。
ジェリー・リーはブラウンの家に居候しており、ふたりの空気がなんかおかしいこともブラウンは気づいています。あんまりべたべたするとマイラを寄宿舎に入れるぞと言っています。そりゃそうだ。だからブラウンは、ふたりが結婚したこともしばらくは知らないんですね。ジェリー・リーはマイラに「結婚したことは君の口から親に言えよ」と言うわけです、大人なのに。わたしがマイラだったらこの時点で幻滅です。大人なんだから守ってよ、めんどくさいこと押し付けんなって思ってるはずです。
マイラはべえべえ泣きながらも、ジェリー・リーが買った家にふたりで住み始めます。で、ジェリー・リーとマイラのベッドシーンがあるんですが、まあこれがまたジェリー・リーのクズっぷり、マイラに向かって「その腰つきはなんだ、お前処女じゃねーだろ」とぶちぎれるんですね。出た! 処女厨出たよ! マイラは処女だって言ってるし、たぶん大人ぶってちょっと腰を動かしてみただけなんだろうと思うんですけど、それでガン切れして家を出て行っちゃう。
子供に向かって思い込みで「おめーは処女じゃねーから許さん」って、どうなの? なんていうか……ロリコンに対してもともと良い感情は持てない上に、大人のくせにちょう子供っぽいし、結婚もほとんど合意の上とは言えないかんじでしたしね、愛している大切にするって言いながらめんどうなこと押し付けようとするしさ、もうね、このあたりで、ああ、ジェリー・リーさんはレコード会社が潰れてド貧乏になったりうっかり殺されたりしてもいいですよ、と思いましたね。すっごいイラッとしたんですが、だからってこの映画はそんなことでおもしろくないとか、嫌いとかではまったくないですね。むしろ逆で、とてもおもしろかったです。どういう方向であれ、映画に感情を揺さぶられるのは楽しいものです。
ジェリー・リーのもうひとりのいとこに、ジミー・スワガート(アレック・ボールドウィン)がいます。キリスト教の伝道師です。ジェリー・リーに「ロックは悪魔の音楽だ、神に仕えなさい」と説教をするんです。映画では語られませんが、ジミーはのちにテレビ伝道師として有名になります。しかし、売春婦を買ってスキャンダルになるんですね、しかも2回も。ジェリー・リーにあれだけ「子供を嫁にするとかほんとありえない、この悪魔め、猥褻ざます」って言ってたのに、おまえ!
この映画はマイラの自伝が元になっています。ジェリー・リー・ルイスは、この映画のことも、本のことも嫌いだったようです。また、ジェリー・リーの妹で歌手のリンダ ・ゲイル ・ルイスも、この映画は本当の兄よりも悪く描かれていると感じているとのことでした。監督のジム・マクブライドは「これはドキュメンタリーというわけではない」と言っています。まあそりゃそうよね。
ジェリー・リー・ルイスは6回結婚しています。最初の結婚は14歳のときで、奥さんは17歳でした。4人目の奥さんはドラッグのオーバードーズで亡くなっています。今はマイラと一緒にいるという記事もありましたが、ちょっとよくわかりません。わからん、この人よくわからん……。それから2010年に、ブラッド・ピット主演、テレンス・マリック監督でジェリー・リー・ルイスの伝記映画を撮るという企画も上がったみたいなんですけど、これもどうなってるのかよくわかんないです。
デニス・クエイドはジェリー・リー・ルイス役を演じるにあたり、ピアノを猛練習したそうです。引きで撮ってても手元の見えるシーンがけっこう多いんですよね。ピアノを弾く手のアップなどは、ピアニストで歌手のジェイソン・D・ウィリアムズが演じています。下は、デニス・クエイドとジェリー・リー・ルイスがふたりでピアノを弾いている動画です。
Jerry Lee Lewis & Dennis Quaid – Great Balls Of… 投稿者 anabelasugarlee


