トラップ/平凡な悪役を活かす装置(あるいは、やはりシャマランは天才である)

サスペンス
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トラップ

Trap/監督:M・ナイト・シャマラン/2024年/アメリカ

新宿ピカデリー シアター2 M-24で鑑賞。他の映画を観るつもりでいたのですが、旧Twitterでの感触が良さそうだったので慌てて予定を変更しました。また、書くところがないのでここに書きますが、この映画に出てくる「コンブチャ」は「紅茶キノコ」のことだそうです。

あらすじ:ライブ会場に閉じ込められます。

ネタバレしています。注意書きはありません。

クーパー(ジョシュ・ハートネット)は、愛する娘ライリー(アリエル・ドノヒュー)のために、歌姫レディ・レイヴン(サレカ・シャマラン)のライブに来ています。広い会場のあちらこちらに警察がいることに気づいたクーパーは、ライリーに付き合いつつも、どうにかして会場を抜け出そうとするのですが……。


私は『オッペンハイマー』(2023年)を観ておらず、『キャッシュトラック』(2021年)は観たもののジョシュ・ハートネットについてはすっかり忘れており、記憶にある一番最近のジョシュ・ハートネットが『BUNRAKU』(2010年)なんですよ。これ、GACKTが山盛りのわさびをすごい顔しながらもりもり食べますよ。なお、初めてのジョシュ・ハートネットは『パラサイト』(1998年)です。全部U-NEXTで観られる!

それで第一印象としては「ジョシュ・ハートネットってこんなに演技うまかったっけ?」で、そりゃあ直近のジョシュ・ハートネットが『BUNRAKU』じゃあ、そういう感想にもなるってものです。

クーパーは、悪役としては非常に平凡なタイプだと思うんですよね。幼少期のトラウマとか、母親との確執とか、平凡な男と殺人鬼という二重生活とか、もう300回くらい観てるわけです、こっちは。だからか? わかりませんが、この映画は必要以上にクーパーの身の上であるとか殺人の動機であるとかを掘り下げないんです。「悪役にもこんな悲しい事情がありました」「心がこんなに傷ついていました」とかいうのを、M・ナイト・シャマランは、やらなかった。これは本当にすごい、素晴らしいことだと私は思って、まあ、何とは言いませんけど、ヴィランの過去の悲しい物語みたいなの、もう、ちょっとみんな飽きてきている気もするわけです(だから私は、絶対悪が登場する『長ぐつをはいたネコと9つの命』(2022年)が好きなんですよね)。「何とは言いませんけど」って書きましたが、『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』(2024年)のことではないです。観ていないので……。

あくまでもこの映画の主人公はタイトル通りの「罠」のありようであって、クーパーではないのかな、と思いました。でも、装置として「罠」がうまく働いていることと、ジョシュ・ハートネットの演技で、まるでクーパーがものすごい知能犯のように映るんです。全然そんなことないのに。手先が器用だったことと、幸運が重なっただけですからね、クーパーがリムジンに乗れたのは。ここを「ツッコミどころ」と言う向きもあろうかと思いますが、私としては、それは表層をなぞっているだけなんじゃないかと思います。と、居るかどうかわからない人びとに対して喧嘩売ってしまったけど大丈夫ですかね。おすすめです。

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