侵蝕
침범/Somebody/監督:キム・ヨジョン、イ・ジョンチャン/2025年/韓国
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マスコミ試写で鑑賞。2025年9月5日(金)新宿ピカデリー ほか全国公開。
あらすじ:娘が怖い。
※ネタバレはありません。
水泳のインストラクターとして働くシングルマザーのヨンウン(クァク・ソニョン)は、幼稚園に通う娘・ソヒョンの攻撃的な行動に悩まされていました。
私は常々、サイコパスとソシオパスが混同されていることを良く思っていないのですが、明確に説明ができていなかったので、ちょっとだけ調べました。CSSの関係で表の色が薄く、見づらくてすみません……。
ソシオパスとサイコパスの違い
特徴 ソシオパス(反社会性パーソナリティ障害) サイコパス(特定類型) 原因 環境要因(育ち、トラウマ、社会経験)の影響が大きいとされる 先天的な脳機能や遺伝的要因の影響が大きいとされる 行動 衝動的で無計画なことが多い。感情的になりやすい傾向がある。 冷静で計算高く、計画的なことが多い。感情をあまり表に出さない。 対人関係 アタッチメント(愛着関係)を形成できる可能性があるが、不安定で支配的。 アタッチメント形成が難しく、人を道具として利用する傾向が強い。 感情/共感性 罪悪感や後悔が比較的少ないが、ないわけではない。感情的になることもある。 共感性や罪悪感が著しく欠如している。感情が浅く、冷淡。 外面 社会的に順応しているように見えることもあるが、不安定さや衝動性が垣間見える。 表面上は非常に魅力的で社交的に振る舞うことが得意。巧妙に周囲を欺く。
ソヒョンが原因となっている数々の出来事、犬を殺したり同じ幼稚園の子供を危険な目にさらすことや、母親に対する態度などを上の表に当てはめると、ソヒョンはソシオパスであるように見えます。ただ、彼女は子供なりに生きづらさを抱えているなとも思うわけです。自分が「どうしてやったのかわからない」ことで母親から叱責され十分な愛情を与えてもらえず、周囲の人間との付き合い方もわからずのまま、ほんの7歳の子供が、自分に興味を向けてほしいがために、社会に順応できそうにない行動を取ることを「恐ろしい」「子供の残酷さ」などという言葉で片付けてよいものではないと思うのです。
もちろんこの映画はフィクションだし私も精神科医ではないし、上に貼った引用元から汲み取れる範囲のみでソシオパス/サイコパスを語ることが、よいことではないのはわかります。ただ、今まで観てきたいろいろな映画の中で、もっともソシオパス/サイコパスの違いをうまく表現しているなと思ったため、よくないとわかっていても書かざるを得ませんでした。
この映画には「父親」がまともに出てきません。言い方を変えると「まともな父親が出てこない」が正解かもしれないです。この映画に出てくる「まともではない父親」たちは、子供を育てる気がなく攻撃的で、子供の問題をすべて母親任せにしたうえ、更に罵倒してくるという最悪な人間ばかりです。父親たちが、すべての問題は子供にあり、母にあり、祖母にある、つまり「女」にあるのだ、というふうに思っているような描かれ方に思うところのある人もいるかもしれませんが、とても面白い映画なのでぜひ。映画の半分以上を占める、書けなかったネタバレ部分が本当に良いです。楽しい映画ではないですが、私が好きな映画を好きな人にはおすすめです。


