役者になったスパイ
Moskau Einfach!/監督:ミヒャ・レビンスキー/2022年/スイス
© Langfilm / Bernard Lang AG 2020
マスコミ試写で鑑賞。2026年1⽉23⽇(⾦)より、恵⽐寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺、 新宿武蔵野館 ほか全国順次公開。
あらすじ:警官が劇団へ潜入捜査をします。
※ネタバレはありません。
1989年、冷戦下のスイス。警察官であるヴィクトール・シュエラーは、反体制派の監視と情報収集のために、デモ活動を行っていた劇場への潜入捜査を命じられます。
子供の頃、スイスは永世中立国で戦争をしないから軍隊がないと思っていました。実際にはそうではないと知ったときは、少し衝撃を受けた記憶があります。今作はスイスの政治を扱った物語で、スパイの話でもあるため、最初は少し身構えました。私は人から攻撃されることがとても怖く、自分が政治についてどう考えているか、どんな立場を取っているかを積極的に表明しないようにしています。それでも、ときどき人と政治の話をすると、相手の反応などから、自分が偏っているのだろうと感じることがあります。それでもどうしても、自分の考えを曲げられなくて。
そんな気持ちで観た今作ですが、登場人物の偏った政治的発言のシーンや、ヴィクトールが無意識に政治的な発言をするシーンなどでは思わず笑ってしまいました。政治的な部分に関しては全体的にコミカルな場面として描かれていたことで、肩の力を抜いて観られて良かったです。また、ヴィクトールが潜入捜査を命じられたとき「お前は人から忘れられやすいからスパイに向いている」と言われていたのが印象的でした。劇団の仲間たちと交流し彼らの考え方に触れていくうちに、ヴィクトール自身の価値観も変わっていき、やがて唯一無二の人物になっていく、その流れもとても良かったと思います。


