アイデンティティー
Identity/監督:ジェームズ・マンゴールド/2003年/アメリカ
U-NEXTで鑑賞。1回観たきりで、オチというか仕組みは知っていますが詳細を忘れました。
あらすじ:10人の男女がモーテルに集まります。
※ネタバレしています。
集まってきたのは、若いカップル、わがままな女優とそのマネージャー、囚人を護送している刑事、再婚した夫婦と子供などです。
むかし書いた感想はこちら↓ 誰かが読むなんてことをいっさい想定していなかった不親切な文章で、ひさしぶりに読んで顔をしかめました。
モーテルに具体的な名前がないのも、殺人に計画性や動機がないのも、クライマックスのところの種明かしで納得できてしまう。先住民墓地のパンフが出てきた時に、一瞬「幽霊モノだったらどうしよう…」と思ったが、そんなことはなくてたいへんほっとした。幽霊とか、やめようぜ! 刑事が本物じゃないってことはなんとなくわかったんだけど、最初は囚人と入れ替わってるのかと思ってたよ。音楽が典型的なホラーで、おもうさまびくびくさせられた。乗せられ過ぎ。最初の方の殺人のところは全体的な演出がかなりホラー。雨の夜、振り向く女、ギャー! みたいな。
一歩間違うとかなりダメ映画になりそうな感じもあり、もしかしたらこの映画はダメだと感じる人もいるかもしれないなと思うけれど、私は良かったと思います。紙一重のところを上手く作ってると思う。精神科の治療にこんなのはないよ、とか言うの、やめようぜ! 死刑執行19時間前に取り消しなんてないよ、とか言うの、やめようぜ! ラストでのティミーの豹変ぶりはすごい。
モーテルに全員が集まって間もなく、俳優が何者かに襲われて死亡します。洗濯機の中から彼女の頭部が発見される場面はかなり印象的でした。以前の感想では「音楽が典型的なホラー」と書いていましたが、この頃はホラー映画をほとんど観ていなかったので、完全に知ったかぶりでしたね。よくない。浅い知識で全体を語ろうとするの、みっともない。
俳優の死後も次々と殺人が起こり、同時にモーテルの鍵がひとつずつ見つかっていきます。このあたりは殺され方のバリエーションが豊かで観ていて楽しいです。地味めの映画だったという記憶がありましたが、車が爆破される場面もあり、思っていた以上に派手でした。そしてなにより、展開が早く飽きずに最後まで観られるところがとても良いです。
おそらく同じ時刻に、ある死刑囚について「本当に罪に問えるのか」をめぐる話し合いが行われています。解離性同一性障害の疑いがあるその死刑囚に刑事責任を問えるのかどうかという議論です。そしてこれは雨の中のモーテルの場面へ直結しています。ひとつ、少し残念だなと感じたのは、医師(アルフレッド・モリーナ)がセリフですべてを説明してしまうところでした。ただ、ここまで明確に示さないと理解できない人もいるだろうし、その点では仕方がないのかなとも思います。というより、たぶん昔の私だったらあの説明がなければ何もわからなかったでしょう。いずれにしても、説明セリフのない状態のこの映画を観られるわけではないので、比較のしようがないという話ではあります。
後半は『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)や『ファイト・クラブ』(1999年)からの影響を感じさせる要素もあるように思いました。もっと古い映画からインスピレーションを受けている可能性もありますが、私が知っている範囲の知識で考えると、まず思い浮かぶのはこの2作です。さきに書いたように、昔の私だったら説明セリフがなければ理解できなかったかもしれませんし、こうして影響元について考えることもなかったと思います。映画は新しいものだけでなく、古い作品も含めてなるべくたくさん観ておいたほうがいいのかもしれないとあらためて感じました。本数を観ていれば偉いとか信用できるとかいうことはないとは思いますが、引き出しは多いほうがよいので。

