マルティネス
Martinez/監督:ロレーナ・パディージャ/2023年/メキシコ
マスコミ試写で鑑賞。2025年8月22日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー。
あらすじ:死んだ隣人に恋をします。
※ネタバレはありません。
60歳のマルティネス(フランシスコ・レジェス)は、偏屈な頑固じじいです。会社から退職をほのめかされ、後任のパブロ(ウンベルト・ブスト)がやってきたことで、平凡だった日常が変わってしまいました。ある日、マルティネスのアパートの階下に住む女性アマリアが孤独死していることを知った彼は、ひょんなことから彼女に興味を持つようになり……。
マルティネスの、アマリアに対する扱いが快不快のギリギリのラインで、「うわっそれは、ない」と思うシーンもあります。でもそのシーンは好意的に観ればとてもロマンチックだったりするんですね。この微妙なところをフランシスコ・レジェスが丁寧に演じているため、全体的に観るとマルティネスに対して愛着が湧いてきます。状況としては非常に特殊で、「老いらくの恋」と一言で済ませることはできません。なんといっても相手が故人なので。マルティネスとアマリアは生前付き合いがありました、とかでもないんです。マルティネスはアマリアの外見も全く知らなかったんです。この設定おもしろいなあ。
アマリアを知ってからのマルティネスは、だんだんと人付き合いもできるようになり、料理に挑戦し家に花を飾るような人物となっていきます。エプロンがめちゃくちゃかわいいです。アマリアの遺品だけどね。徐々に彩られていくマルティネスの生活と、彼と周囲の人びととの関係などが心地よく、人を想うことって素晴らしいんだなと再認識させられました。コメディ映画ですがげらげら笑えるという種類のものではなくて、むしろ笑えるシーンはさほどなくて、でもなんだか心があたたかくなるような、素敵な物語でした。


