インコンプリート・チェアーズ
監督:宇賀那健一/2025年/日本
試写で鑑賞。公開は2026年1月23日です。宇賀那健一監督作品は初めて観ました。R18+。
あらすじ:人間で椅子を作る。
※ネタバレはありません。
椅子職人・九条新介(一ノ瀬竜)は、自分の作る椅子に惹かれて工房へやってくる人たちを次々と殺害し、椅子の素材として集めていました。
人間を素材として椅子を作る、と言われるとまっさきに思い出すのは蜈蚣Melibe先生の漫画『バージェスの乙女たち』です。『バージェスの乙女たち』では、人間を遺伝子改良して作られた有機人形が人体改造されます。このシリーズの中に出てくるヤマトナデシコ・マユミは高い知能をもつ美しい有機人形でしたが、身体をばらばらにされ脳をいじられて知性を失い、生きた一脚の椅子へと改造されました。残酷描写はありません。そして人権もありません、人形なので。
さて『インコンプリート・チェアーズ』です。冒頭から面白くて引き込まれました。主人公が男の頭をハンマーで殴るのですが、おもわず「もう死んでない?」って言っちゃうくらい延々と殴っていて、それがとても滑稽で笑ってしまいました。そのあと、切断した腕で床の血を拭いていたのも面白かったです。私こういう滑稽さ、すごく好きなんですよね。「ツッコミどころ」ではないです。映画の感想で「ツッコミどころ」っていうの、私は好きではないです。
九条が選ぶ素材は男性が多く、いちいち全員うっとうしくて、彼が「ウザッ」と感じただけで被害者を殺しているように見えるところがあります。もちろん作中には女性の被害者も登場します。また、九条が「作品」と「作家の人間性」について語る場面は興味深かったです。映画も、作品と監督あるいは俳優の人間性を切り離すべきかどうかが話題になることがありますが、そこに対するひとつの答えを提示しているようにも思えます。特に、過去に起こした過ちについて、どれくらいの時間が経てば、あるいはどれほどの罰を受ければ、人は社会から許されるのか? という問いがそこにあるように感じました。
歯を見せて微笑むだけで怖い印象になる俳優ってすごいなと思い一ノ瀬竜さんについて少しだけ調べたら、2.5次元舞台(『あんさんぶるスターズ!』『ハイキュー!』など)もやってらっしゃったんですね。謎の納得感があります。なぜなら顔が整っているからです。
私が初めて観たスプラッター映画は『ホステル』(2005年)だと思います。とっても面白いですよね。でも私は、自ら進んでスプラッター映画やゴア映画などを観てきませんでした。痛いとか怖いとかいう理由ではないです。嫌いなわけでもありません。単に観てこなかっただけです。今作が面白かった(私に合っていた)ので、他の宇賀那健一監督作も観てみようかなと思いました。こういう、今まで積極的に触れてこなかったジャンルに興味をもつきっかけになる映画って、いいですよね。


