Riceboy ライスボーイ
Riceboy Sleeps/監督:アンソニー・シム/2022年/カナダ
マスコミ試写で鑑賞。公開は2026年4月3日です。
あらすじ:韓国からカナダへ移住しました。
※ネタバレはありません。
恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは、まだ幼い息子ドンヒョンを連れてカナダへ移住します。
ドンヒョンにとっては親の都合の移住で、慣れない暮らしと差別に苦しみ、友達もなかなかできず、かといって帰りたい場所は母親の待つ家以外にあるわけでもないという状態は、客観的に観ていてもいたたまれない気持ちになります。とくに小学生のころは、学校と親がすべての世界ですから、そのつらさについては言うまでもありません。
15歳になったドンヒョンは、クラスでトラブルを起こしたり、母であるソヨンにきつい態度をとったりと、反抗期まっただなかといったようすです。以前、子供をもつ友人から、「(反抗期の子供は)感情100%でぶつかってくるからきつい」と聞いたことがあり、自分も母親に対してそういう態度だったなと思い返したりしました。
シングルマザーと幼い子供が外国で移民として暮らしていくことの大変さを、私は実感としてはまったく知りません。ソヨンはずっと、ずいぶんつらそうです。笑顔を見せるときがないわけではありませんが、彼女にとっての幸せとはなんだろう、と思わざるを得ない瞬間が多かったように思います。それでも彼女は、カナダで家族を作ろうとします。もう祖国には戻らない、この土地で家族を作ろう、と。
まるで誰かの思い出をのぞいているような映像と非常にリアルな演技で、私にはまったく存在しないはずの記憶を呼び起こされる気持ちがします。日曜の夕方に、家でオンライン試写を観て、感想を書く前にベッドでうとうとしていました。そして見た夢に、陽に灼けたぼろぼろの古本が出てきて、映画にそんなシーンはありませんが、なんとなくこの映画がもつ郷愁を呼び起こす力を感じました。そう遠くない将来、ソヨンとドンヒョンに起きるであろう出来事について思うと、胸が締め付けられるような気持ちがします。この話がフィクションで良かった、と思ってしまいました。おすすめです。

