どうすればよかったか?/家族という他人

ドキュメンタリー
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どうすればよかったか?

監督:藤野知明/2024年/日本

ポレポレ東中野(地下)1 F-5で鑑賞。チケット取るほんの3分ほど前に、X(旧Twitter)でラストがどうなるかを書いてしまっている投稿を見て、とても憤りました。だめだって! ふせったー使って!

あらすじ:姉が統合失調症になりました。

ネタバレしています。注意書きはありません。

家族構成は、父、母、姉、弟で、監督は弟にあたります。実家を出て遠くで働いている弟が、時々、帰省して家族の様子を撮影していました。

今回の感想のタイトルが非常に凡庸なのは、可能な限り普遍的な表現をしようとした結果です。私は映画の感想について、いつも自分の手元に作品を引き寄せ、私の中での解釈を大切にしてきました。それは今作でも変わらないです。作品と自分との距離を限りなく近くした上で書いたものに個性が宿ると思っているからです。

ここから下はネタバレしかありませんし、いつもどおり、ほとんど自分の話しかしていません。


観終わって一番最初に思ったのは、投薬治療は本当に効果があり、継続して続けていくことが大切なんだなということです。25年間、まともな治療をしてこなかった姉が、たった3か月の入院で合う薬を見つけ退院するまでに回復したからです。まったく話が通じず何を言っているのかいっさいわからなかった姉が、退院後には弟とかんたんとはいえ会話(受け答え)ができていたんです。このくだりには本当に驚きました。ここまで効果がわかりやすく現れるものなんだなと。

次に思ったことは「部屋を片付けよう」でした。「母」に認知症の症状が現れたあたりでの部屋のようすがあまりにも乱雑になっていたからです。私は「生活」が苦手で、洗濯はできますが料理ができず、掃除も苦手です。ものを作るための材料と在庫が部屋をうめつくし、ベッドルームには洋服が山のように積んであります。どうしても片付けられません。自分は怠惰なのだと思い込んでいましたが、それだけから来るものではなさそうです。とりあえず、手のつけられるところから……まずは洋服を捨てようと思います。がんばるので応援してくれると嬉しいです。私は他人からの目をとても気にするので、それを逆手に取って、捨てる洋服の写真を親しい人に見せるのも効果があるかもしれませんね。やり過ぎ注意ですが。

「姉」は学生時代に最初の発作を起こしました。そのときは家族で相談し救急車を呼び、医者に診せたそうです。そのときの医者が「どこも問題がない、健康だ」という診断を下したため、父と母は彼女を「健康だ」と信じ込んでいました。私は、彼らの人生に悪者がいるとしたらその医者だろう、と思いながら映画を観ていましたが、どうやら弟はその医者と会っておらず本当にそんな診断が下ったのかどうかがわからないっぽい、とわかったところで、ああ、これは親の責任かもしれない、と思いました。ただ、老いた親を責めるのは非常に気の毒だとも思いますし、それこそ他人の家族のことなので、私がああだこうだと言える立場にはありません。「母」が亡くなったとき、おそらく母の妹である老婦人が「身内にあんな子がいたらね。いや、まさこちゃん(姉)も身内だけど」と言ったとき、絶望的な気持ちになりました。この家族に口を出せる人がいるとしたら、父母の兄弟か親になると思うので……。

私は18歳の頃、最初の発作を起こしました。大阪芸大を受験するため一人で大阪におり、帰りに駅のトイレで過呼吸を起こして倒れました。近くにいた人が救急車を呼んでくれたとき、私の身分証明書を見た救急隊員の方が「岐阜?!」と言ったのをよく覚えています。それから先のことはいっさい覚えていません。

大阪芸大に落ち、別の芸術系の大学に受かって上京した私のことを、両親はとても気づかってくれています。私は両親から丁寧に育ててもらったと思っているし、今も彼らからは大きな愛情をもらっています。そもそも、就職に有利とは言えない芸術系の大学に行かせてもらったことは感謝すべきだと思います。また、過去のことを言っても仕方ありませんが、私は反抗期が長くいつも不機嫌で、特に母を苦しませたことを申し訳なく思っています。

最初の発作から次の発作が起きるまで、何年かあったように思いますが覚えていませんし、無理に思い出して調子を悪くするのも良くないため、考えるのはここでやめます。とにかく私は18歳から今に至るまでずっと、精神的な不調を抱えています。病識があるため投薬治療でこころの動きを抑えていることを理解しており、また、最近悩まされている症状についても、これはあんまりひどくなると入院になるとわかっています。母は私が自立支援医療(精神通院医療)のお世話になっていることをほんの数年前に知り、驚いていました。私に精神疾患があることを両親はなかなか認めてくれませんでしたし、今もそうかもしれません。ただ、どうにかこうにか一人暮らしができているので、私も両親に対してわざわざ心配させるようなことは言わないでおこうと思っています。

ところで、年末に私は妹の家で蟹を食べるのが毎年恒例の行事のようになっているのですが、ある年、彼女は私にこう言いました。「うちの家族は、おねえちゃんに対して負い目がある」と。なんのことを言われているかわからず、えー? と言いながらお酒を飲んだことを覚えています。今もその意味はわからないし、いまさら知ったとてどうにもできないことも、わかっているので特に聞きません。

こころの病が他人事である人を、羨ましく思う気持ちがあります。メンヘラとか糖質とか風呂キャンセル界隈とか言って面白がれる人を、羨ましく思う気持ちがあります。この映画を観てどのような感想を抱くかで、生活と精神疾患についてどのようにとらえているのかがわかるかもしれないな、と思いました。おすすめです。

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