タレンタイム〜優しい歌/ときには、言葉よりも。

人間ドラマ
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タレンタイム〜優しい歌

Talentime/監督:ヤスミン・アフマド/2009年/マレーシア

マスコミ試写で鑑賞。ヤスミン・アフマド没後15年記念アンコール上映、2024年7月20日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。タイトルは知っていましたが初見です。

あらすじ:音楽コンクールに出場します。

ネタバレしています。ネタバレの前には注意書きをしています。

音楽コンクール「タレンタイム」が開催される、マレーシアの、ある高校。


ピアノが上手い女子学生、ムルー(パメラ・チョン)は、耳の聞こえないマヘシュ(マヘシュ・ジュガル・キショール)にレッスンの送り迎えをしてもらっていました。ムルーは、マヘシュの耳が聞こえないことを知らず冷たくあたるのですが、ある日、彼の耳が聞こえないことを知ります。それからムルーは急速にマヘシュのことを好きになっていくのです。

一方で、二胡を演奏する優等生カーホウ(ハワード・ホン・カーホウ)は、成績優秀なうえに歌もギターもうまいハフィズ(モハマド・シャフィー・ナスウィップ)に嫉妬心を抱いていました。

私は、今の仕事の関係で東南アジア諸国と台湾にほんの少しだけ興味を持っています。この映画には学校のシーンが多くあるし、葬式なども描かれるので、他国の文化にこのような形で触れることはとても興味深いし意義のあることだなと思います。

ムルーの家にマヘシュが来たとき、そこにいた人が「アーミル・カーンに似てる」と言っています。まあ似てはいないんですが、『ガジニ』が2008年に公開されヒットしており、タイミング的にちょうどよく(『タレンタイム』は2009年の映画)話題にのぼったのでしょうか。それとも、2008年以前からアーミル・カーンは世界的に有名だったのかな。ちょっとインド映画の事情はわからないのですみません……。

言語について、英語を話したり(おそらく)マレー語を話したりするので、ちょっと気になったので調べました。マレーシアでマレー語を話す人は70%ほどで、英語を話す人も多いようです。多民族国家であるため、中華系は中国語(って言っても中国語もたくさんある……)、インド系はタミル語やヒンディー語も話すようす。マレー語の読みは、日本人には比較的かんたんな方らしい。意味はともかく、アルファベット通りに話せばいいみたい。例えば「Selamat Pagi」は「スラマッ パギ」って読めばいいんですって。へええ。なお、意味は「おはよう」です。ちょっとだけ賢くなりました。

嫌な人が出てこなくて(カーホウはハフィズにちょっと嫌がらせするけど)、みんな、自分が大切にしているものや人を守ろう、愛そうとしているのがよくわかります。特に、脳腫瘍で入院している母を見舞うハフィズの優しさには胸を打たれました。母もハフィズのことを深く愛しており、痛がったり苦しんだりする様子を息子に見せたくないので、病院へ来ないで欲しいって言うんですよね。お母さん……!

また、マヘシュもムルーに対し恋心を抱きます。それも割と激しめに。「ずっとそばにいてくれる?」と手話でムルーに話しかけるも、ムルーは手話がわからないため、不思議そうな顔をしたあとスルッと話題を変えるところとか、よかったです。私はこういう、情熱のすれちがいが起こす空気が好きなのかもしれません。

2か所、すごく差別的な発言のあるシーンがありましたね。時代かもしれませんが。中華系が差別されていることや、ムスリムを受け入れないことなどは、根の深い問題であるようにも思いますし、そんなにすぐには変わらないんじゃないでしょうか。

※以下ネタバレしています。

この物語は「喪失」で終わっていくんだけれど、ラストのカーホウの行動に、ちょっとうるっと来ました。友達になるまでの、長くて短い期間がそこにあったのだ、と思うと……。カーホウは母の死を乗り越えてタレンタイムに出場するハフィズに対して、尊敬の念を抱いていたのかもしれません。カーホウがああいうことをしてくれなかったら、この映画は本当に悲しい気持ちで終わっていくものになっていたでしょう。おすすめです。

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