ノーヴィス
The Novice/監督:ローレン・ハダウェイ/2021年/アメリカ
マスコミ試写で鑑賞。公開は2024年11月1日です。
『エスター』シリーズのイザベル・ファーマン主演、『セッション』(2014年)、『ヘイトフル・エイト』(2015年)などの音響を手掛けたローレン・ハダウェイが自身の体験をもとに描いた初監督作です。タイトルの「ノーヴィス(Novice)」は、スポーツの分野において「一定の水準に達していない初心者のこと」だそうです。
あらすじ:ボート競技をがんばりすぎる。
※ネタバレはありません。
大学の女子ボート部に入部したアレックス(イザベル・ファーマン)は、初っ端からフルスロットルで練習に打ち込みます。
レギュラーになるチャンスを与えられたアレックスは、人一倍努力をするのですが……。
アレックスは頻繁にコーチや友人、先輩から「肩の力を抜け」とか「休め」とか言われています。「(ボート競技の技術を会得するには)1万時間かかる」とも。何事にも本気で打ち込むタイプのアレックスは、なかなかそれを受け入れることができないようす。練習が足りない、努力が足りないと自分を追い込んでしまうんですね。彼女はとても真面目なんだと思います。真面目さは美しいですが、ときに自分で自分の心を壊してしまうことにもなりかねません。
寒々しい映像と否応なしに緊張感を煽ってくる音楽のため、スポーツ映画ということを忘れそうになります。もしかしたら一番似ているのは『ブラック・スワン』(2010年)かも? と思ったら、「THE NOVICE ノーヴィス」公式サイト 11/1(金)ROADSHOWにすでにそう書かれていました。だよねー。
私はスポーツ映画のフォーマットが好きで、なぜかというと修行シーンがあるからです。修行シーンはよい。人が努力をしてだんだん上手になっていくようすは見ていて楽しいし、勇気ももらえるんです。でもこの映画の修行シーンはとってもつらいんですよね。ほとんど笑顔を見せることのないアレックスは、楽しく練習をしているようにはとうてい見えませんし、自分を追い込みすぎて視野がどんどん狭くなっていきます。彼女の精神状態は、物語が進むごとに悪化していくんですね。本来、修行の先にあるのは成長だと思いますが、彼女の場合は成長ではなく、悪化です。良くないですよ。
イザベル・ファーマンの空虚な狂気の演技が素晴らしかったですね。この役には彼女が適任とすら思います。彼女は『エスター』(2009年)も良かったですが(『エスター ファースト・キル』(2022年)はまあ、ちょっと、うーん)、今作で一回り大きく成長をしたのではないかなと思いました。良かったですね。おすすめです。


