クラブゼロ/食べないことが唯一の道

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クラブゼロ

Club Zero/監督:ジェシカ・ハウスナー/2023年/オーストリア・イギリス・ドイツ・フランス・デンマーク・カタール合作

マスコミ試写で鑑賞。公開は2024年12月6日です。なお、公式サイトにも掲載されており映画の冒頭でも提示されますが、この映画には行動統制と摂食障害に関する描写があります。また、別に注意喚起ではないけれど書くところがないのでここに書いておくと、グロいとかではないのに観ていられないほど嫌悪感をもよおすシーンがありました。キッツいです。

あらすじ:意識的な食事を実践します。

ネタバレはありません。

とある名門校に赴任してきた栄養学の教師であるノヴァク(ミア・ワシコウスカ)は、「意識的な食事」を掲げ、生徒たちに実践させます。それは「少食は健康的であり、寿命も伸びるし地球にも優しい」という考え方です。


モダンで美しい建物と内装、そして衣装や小物の色使いがとてもかわいらしい映画です。しかし、ここで描かれている出来事は、人間が当たり前に持っている食欲をコントロールし、ひとりの教師でしかないノヴァクを生徒たちが信奉するようになる恐ろしさです。なかには奨学金のためにノヴァクの授業を受ける生徒もいますが、彼も次第にノヴァクの考え方に染まっていってしまいます。

生徒たちがノヴァクの言いなりになるのは、彼女がただのダイエットを推奨しているわけではないからです。ノヴァクは「食べる人」を心のどこかで見下し、世界が崩壊するときに生き延びられるのは「食べない人」だと信じています。その考えが生徒たちにも伝染しているんですね。これは陰謀論にはまることや洗脳されることと同じで、ショッキングな「事実」を知って一度覆された「常識」が、もう一度覆って、元の考え方に戻ることはなかなかないのです。

摂食障害について。私は以前、拒食症でした。体重を量っては500グラム程度の増減に一喜一憂し、1日の摂取カロリーを700キロカロリー以下にしようと絶食したり嘔吐したりを繰り返していたのです。成人してから一番体重が軽かったときで37キロでした。これは、10歳の平均体重です。医者には「あと2キロ痩せたら強制的に入院させます」と忠告されていたものの、ものを食べようとすると吐いてしまい、泣きながら「体重を増やせない」と言っていました。何がきっかけで拒食症が治ったのかは忘れてしまいましたが、今はすっかり健康的になり、というかむしろ太っていて(それはそれで医者に痩せろと言われてしんどいわけですが)、家族に「なんでそんなに太ってるんだ」と言われるまでになりました。ちょうどいい、ということを知らないですね。痩せているときには、「痩せたい」と言いながら食べている知り合いに対して「食べなければ痩せるのに」と思ったり、なんなら言ったりしたこともありました。もちろんすごく嫌われたし、今はそんなふうに他人の体型に対して何か言うなんてことは良くないとわかっています。

私は自分が拒食症だったことを、よく人に話します。この映画を観て、なぜ私は自分の体重が異常に軽かったことを人に話したがるのだろうか、と改めて考えてみると、要するに自慢なんですね。今、とても太っているせいもあり、痩せていたことを自慢したいんです。むしろ痩せられるのならまた拒食症になってもいい、とどこかで思っている自分がいることに気づいてしまいました。でもまだ理性があるので、今の年齢で痩せ過ぎたら骨が折れるだろうし髪も抜けるだろうとわかっています。わかっていますが、すごく危険ですね。こんなふうに、1本の映画から自分の本心を暴き出されたのが初めてのことなので、ちょっと動揺しています。

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