アングスト 不安/産まれたときから殺したかった

スリラー
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アングスト/不安

Angst/監督:ジェラルド・カーグル/1983年/オーストリア

U-NEXTで鑑賞。信頼している人がこの映画を好きで、よくこの話をしており、ずーっと気になっていたので観ました。たまたま調べていて見つけたギャスパー・ノエのメッセージ動画があったのでリンク貼りますね。
アングスト 不安の予告編・動画「メッセージ動画(ギャスパー・ノエ)」 – 映画.com

あらすじ:人を殺しますが、動機はありません。

ネタバレしています。注意書きはありません。

1980年にオーストリアで実際に起こった一家惨殺事件をもとにしています。刑期を終え出所した主人公が、こらえきれず人を殺します。


「実録ものっぽいよ」と言われて観て、「本当だ実録ものっぽい」とそのままの感想を抱いたわけですが、他の「実録もの」を観たことがないな? と思い至りました。私はどういう映画を実録ものっぽいと捉えているのだろう。それはともかくとして一番に思ったのは、映像表現のおもしろさに溢れているなということです。私が世の中のほとんどの映画に対して思うことは「どうやって撮ったのかなあ」で、だいたいそれは答えが出てくるものでなく(撮影監督に直接聞けるわけではないし、私には撮影の知識がないので)、唯一ストップモーションアニメならどう撮っているのか想像がつくという感じです。

今ならドローンを駆使すれば撮れそうな映像でも1983年だとそうはいかないでしょう。私はふだん映画を観ているとき、特別に変わったカメラワークとかでなければ、撮り方については観ていても脳内でスルーしちゃうみたいなんですよね。映画を見慣れてきているし、私は映像表現よりもストーリーの方に引っ張られがちだからかもしれません。それでもやはり面白い映像表現にぶち当たるととても嬉しい気持ちになります。この映画にはそれがたくさんあるので、この監督の他の作品も観たいな、と思ったら、これ以外を撮っていませんでした……。

それにしても、主人公(アーウィン・レダー)の顔のインパクトがすごい。子供時代の写真もとても似ているので、実際に俳優の子供時代の写真を使ったのかと思ったくらいです(どうなのかは知りません、知っている人に聞きます)。これから変なことを書きますが、アーウィン・レダーってすっごく粘土で作りやすい顔立ちだなと思いました。ぎょろっとした目、はっきりした鼻筋、痩せこけた頬、すこし開いた口元とそこから見えるすきっ歯と、特徴がたくさんあるので。目頭のところが逆テーパー気味だから、石膏よりシリコンで型を取ったほうが良さそうですね。何の話?

全体的に主人公のモノローグで話が進んでいくため、さすがに共感こそできないものの、必然的に殺人者に対して寄り添う目線を持つことになることが、話が進むにつれてどんどんおもしろくなる一因だなと思いました。自分で起こしている事件なのに「展開が早い」と言ったり、殺した相手に対して「もしかしたら死んだふりなのでは……? でも、こんなにうまく死んだふりができる人はいない」と言ったり、殺す予定の女性に対して「俺を誘ってるな、気があるのか?」とか言っているのがたいへん面白かったです。ひとりで観ていたので心置きなく笑いました。こういう、どう言い訳したらよいのか判断しかねる面白さ、好きです。不謹慎なのかも。もっと早く観ればよかった……!

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