ノベンバー/命を奪う、醜悪な魂と

ファンタジー
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ノベンバー

November/監督:ライナー・サルネ/2017年/ポーランド・オランダ・エストニア合作

U-NEXTで鑑賞。今年中で配信が終わるため慌てて観ました。第90回アカデミー賞外国語映画賞エストニア代表作品に選出されています。

あらすじ:村の娘が恋をします。

ネタバレしています。注意書きはありません。

死者の日を迎えるエストニアの村。墓から戻ってきた死者たちは、家族と一緒に食事をしたりサウナに入ったりします。


農民たちは、「クラット」と呼ばれる使い魔を作り、それに盗みや仕事をさせている様子です。クラットが最初に出てきたとき、最近あんまり観ていないタイプの造形物がいきなり人間サイズで出たため面食らってしまいました。この映画も人に勧められたのですが、私がブラザーズ・クエイとか『オオカミの家』(2018年)とか好きだから勧めたのかな? と思います。要するにそういう、薄暗さの中にちいさな生命が蠢くようなやつです、クラット。かわいい。

農民の娘リーナ(レア・レスト)は、村の青年ハンス(ヨルゲン・リイイク)に想いを寄せていました。一方でハンスは、謎のドイツ人男爵(ディーター・ラーザー)の娘(ジェッテ・ローナ・ヘルマーニス)に好意を抱いており、彼女の部屋へ忍び込むのでした。

こうやって書くととても簡単な物語だし、言っていることもやっていることもシンプルなんですが、それなのにこちらの理解を阻んでくるような空気があります。農民らはみな老いて醜く、リーナとハンス、ドイツ人の娘の3人だけが整った顔立ちをしているところとか、昔からのお伽噺にある限りなく純粋な醜悪さみたいなものも感じました。醜く描くことに対して悪気がないんです。良いものは美しく、悪いものは醜い。あるいは、美しいものは頭が悪く、醜いものは狡猾だったりします。

何をもって相手を愛しているのかがはっきりしないリーナとハンスからは、知性をあまり感じられません。もっとも、この物語に出てくる人びとの中で知性を感じるのは男爵のみですが、彼はあまり登場してこず物語へ関与することもないため、顔つきから知性的だと受け取った私が醜悪な魂の持ち主だとも言えるかもしれません。

老人2人が色恋の話をしているときに、その場にいたクラットが「おやおや、私はお邪魔ですかね」みたいな感じで(実際はどういう意図かわからないんだけど)そっと窓から出ていくのめちゃくちゃかわいかったです。なにその配慮、かわいい。物なのに。

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