ロボット・ドリームズ
Robot Dreams/監督:パブロ・ベルヘル/2023年/スペイン・フランス合作
マスコミ試写で鑑賞。公開は2024年11月8日です。第96回アカデミー賞で長編アニメーション賞にノミネート。
ネタバレなしの感想はこちら→ ロボット・ドリームズ/また、きみに会いたい | * FRAGILE
あらすじ:ドッグとロボットの友情物語。
※ネタバレしています。注意書きはありません。
ロボットがちゃんと実際に正面から見た最後のドッグの顔って、悲しんでいる、あるいは困っている顔だったんですよね。ロボットがその表情を忘れた日なんてきっとなかったと思うし、ロボットはずっと動けないままで夢を見るばかりで、とてもかわいそうに見えます。が、なにせロボットなので痛みを感じないから大丈夫です。凍っても大丈夫。ウサギの行動がひどすぎたり、ワニにバラバラにされたりして不憫だけど、大丈夫。この物語はロボットでなくてはならなかったんですよね。同じ内容で、他の動物だったり人間だったりが演じていたとしたら、とんでもないでしょ。成立しないもん。
私は、ロボットの新しい相棒が少女とかではなくてラスカルで良かったなと思います。ラスカルは自立した大人だし、ロボットにとっては命の恩人だし、彼がロボットのことをとても大切にしているのがわかって。安心したんですよね。ドッグよりだいぶ年上だろうと思われるラスカルからは、ロボット(に限らずおそらく今までラスカルが出会ってきたいろんな友達に対する)思いやりを感じるのがとてもいいなと思って。
ロボットの新しい身体には、ロボットのお気に入りとラスカルのお気に入りのカセットテープが入っています。ロボットがひとりで「September」を流すとき、テープを巻き戻すんです。それで思ったのは、ロボットはラスカルと一緒に「September」を聞いたってことなのかなと、自分のお気に入りの曲を誰かと分かち合いたいという気持ちがあって、この曲が好きだよっていうことを伝えたんじゃないのかなあ。妄想ですけどね。
ドッグは紆余曲折を経たのち、新しい相棒である四角いロボットと出会います。四角いロボットに対するドッグの思いやりかた、特にビーチへ行ったときの行動を見ると、かつて相棒だったロボットで起きてしまった悲劇を繰り返してはいけないと学んでいることがよくわかります。ドッグは、ロボットのことをもちろん忘れてはいないんです。あんなに、ビーチに穴掘っちゃって怒られてさ、がんばって探したけど、見つからなかった。すごくしんどいですよね。ドッグはかつてロボットとのあいだに育んだ友情を大切に思っている、はずだと思うんです。ロボットを忘れたわけじゃない。諦めたかもしれないけれど。まあ、これも妄想ですけどね……。
ロボットの最後の行動は、愛と優しさにあふれているなと思いました。ドッグはあんな場所にロボットがいると思わないだろうから、隠れる必要なんてなさそうだけれど、隠れてしまう。それはドッグの隣に四角いロボットがいるからで、こちらにはロボットを待っているラスカルがいるからだと思うんですよ。
つらい別れを経験したからといって、いつまでも悲しみに暮れていなければならないわけではない。新しい出会いも大切にして生きていく、喪失を乗り越えていく物語だなと思います。愛って、常に隣にいる人のためにだけあるものではなくって、憎み合わずに別れたかつて愛した人や、もしかしたらこれから出会う人にも向けられるものなのかもしれないなと思いました。おすすめです。


