ハイパーボリア人/世界が私を蝕んでいく

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ハイパーボリア人

Los hiperbóreos/The Hyperboreans/監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ/2024年/チリ

マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年2月8日です。『オオカミの家』(2018年)のクリストバル・レオンホアキン・コシーニャ監督作。「ハイパーボリア人」はギリシア神話やクトゥルフ神話に出てくる架空の民族の名前と知り、膨大な予備知識が必要かと恐れおののきました。他方、『オオカミの家』のときはいっさいの予備知識なしに観ても面白くはあったので(分かりはしなかったけど)とりあえずまず観てみました。

あらすじ:幻聴の内容を解き明かします。

ネタバレはありません。

女優で臨床心理学者のアントーニアは、ある映画に主演しましたが、ネガを盗まれてしまいます。そこで、記憶を頼りに映画を蘇らせようとするのでした。

オオカミの家』はコロニア・ディグニダの話でしたが、今作は割と直球でアドルフ・ヒトラーについての話かなと思います。思います、というか、劇中はっきり出てくるのでわかりやすかったです。アントーニアが混乱すると、説明してくれる声が出てきたりするため、観客のことを意識して作られたのだなということもわかり(アントーニアが基本的に観客へ語りかける登場人物であることも、認識を深める手助けとなったかと)、易しい作りでした。ただ、表層としては理解できていますが、やはりチリの現代史やナチスとの関係などを交えて説明することは私には出来ません。

この映画には、実在したチリの小説家、ミゲール・セラノの思想についてが出てきます。まったく知らなかったので調べたところ、この映画の重要な部分に触れられていました。私があとで読み返したときにわかるよう、リンクを貼ります(本当はネタバレ込みの感想を書きたかったのですが、そういうわけにいかないので、このような形で残しておきます)。
謎に満ちたミゲル・セラノの“秘教的歴史観”

クリストバル・レオン監督とホアキン・コシーニャ監督が人形の姿で出てきて映画を蘇らせようとしている設定なのは、ここを他の人や架空の人物にした場合のリスクがあるかもしれないから、自分たちが出て責任を取るつもりなのかなとも思います。リスクと言っても、「うわ、なんてことをしようとしてるんだこいつら……」と観客から思われる、あるいはナチス絡みの物語であるために激しい拒否反応を示す観客がいた場合、くらいのことだと思います。国を揺るがすような、またはこの映画を世に出したことで干されるようなリスクというわけではありません。が、これをフィクションとして捉えられない、笑い事ではないと思う人もいそうなので……。

映像的には『オオカミの家』の方が私は好きですが、面白さでいうと今作の方が良かったです。おすすめです。

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