アンデッド/愛しき者の不在
Handtering av udode/Handling the Undead/監督:テア・ヴィスタンダル/2024年/ノルウェー・スウェーデン・ギリシャ合作
マスコミ試写で鑑賞。2025年1月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか公開。35ミリフィルムで撮影されているそうです。
あらすじ:死者が蘇りはじめます。
※ネタバレはありません。
息子を亡くした母と祖父、母を亡くした父と娘と息子、パートナーを亡くしたレズビアンの老婦人がいました。
ゾンビなんですが、私たちが良く知っているゾンビとはまったく異なるように見えます。蘇ったひとびとは呼吸をし瞬きもしますが、いっさいの発話をせず自発的に動くこともありません。登場人物たちは、いつか彼らが「もとに戻る」のではないかと精一杯の行動をするんです。これが悲しくて、全体的に落ち着いたトーンの映像や音楽、ゆっくり進む物語がそれをいっそう引き立たせるといった感触です。
ある人物が手を伸ばしたとき、左腕の内側にすごい数の傷跡がありました。リストカットの痕です。これがもともと俳優の腕なのか特殊メイクなのかはわかりません。リストカットをする人がみんな同じ理由でそれを行うとは言えないですが、私には「生」と「死」のはざまの状態にあるとき、してはいけないとわかっていても切らずにいられないのではと思います。この映画に出てくる「生ける屍」が「生」と「死」のはざまの状態にあることを思うに、監督はこの傷跡をわざと見せているのだろうと思いました。暗くて悲しい映画ですがおすすめです。


