顔を捨てた男
A Different Man/監督:アーロン・シンバーグ/2023年/アメリカ
マスコミ試写で鑑賞。公開は2025年7月11日です。
あらすじ:顔が変わります。
※ネタバレはありません。
顔に変形のあるエドワード(セバスチャン・スタン)は俳優を目指していました。隣に引っ越してきた劇作家志望のイングリッド(レナーテ・レインスヴェ)に惹かれつつ、自分の気持ちを隠して生きるエドワード。主治医から「顔を変える薬がある」と言われた彼は……。
エドワードは薬で顔の変形を治します。心機一転、新しい人生をやっていく! となったものの、ある日、かつての自分とそっくりなオズワルド(アダム・ピアソン)が現れて……というお話。予告にもありますが、オズワルドはめちゃくちゃポジティブだし明るくて人に好かれる人物なんですね。エドワードと似ているのは顔だけなんです。オズワルドはエドワードの人生に深く入り込んできて、エドワードが今まで欲しかったものをさらっと奪っていってしまう。俺はつらかったのに、なんでお前は。
割とシリアスな導入だったのが後半に行くにつれてコミカルな描写も増え、笑うというほどではないけれども明らかにオズワルドの登場によって映画のトーンも変わってくるように思います。あくまでもエドワードの個人的で小さな物語を主としており、彼がどう思うのか、彼がどう感じるのか、そして彼の幸せとはなにかが第一に置かれています。
オズワルドのポジティブさを見るかぎり、この人はもともとそういう性格なんだろうなあとも思うんですが、彼の心の奥のことは誰にもわかりません。オズワルドもエドワードみたいにおどおどと暮らす時期があったのかもしれません。何かがきっかけで前向きになれたのかも。もしかしたらね。でもあのふるまいは元来持っている性質である気もするなあ。オズワルドは外見で人を驚かせたりしてしまうかもしれないけれど、彼が周囲の人に好かれる理由も十分にわかるんですよね。
顔が変わったくらいでは大金持ちにはなれないけれど、日々をどう生き、何を大切にし、誰を愛するかで生き方は決まってくるかもなあなんて思うわけです。そして、そういった出来事が積み重なった結果の小さな人生をいかに自分で愛するかというのも大切なことのように思います。怖い映画ではありません。おすすめです。


