オークション 〜盗まれたエゴン・シーレ
Le Tableau volé/監督:パスカル・ボニゼール/2023年/フランス
©2023-SBS PRODUCTIONS
マスコミ試写で鑑賞。2025年1月10日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国ロードショー。
あらすじ:超高額になる絵が見つかります。
※ネタバレはありません。
エゴン・シーレのカンバス画が見つかったという報告を受けた競売人のアンドレ(アレックス・ルッツ)は、元妻で相棒のベルティナ(レア・ドリュッケール)とともにその絵を見に行くのですが……。
この物語は実話をベースにしていて、エゴン・シーレの「ひまわり」の発見については以下のブログに記載してあります。個人ブログなのですが、私が調べたかぎり、この件については↓の記事しか出てきませんでした。そんな馬鹿な。どなたか他の記事を見つけたら教えて下さい。
4月の終わり、1914年にオーストリア人画家エゴン・シーレによってヴァンサン・ヴァン・ゴッホの「ひまわり」へのオマージュとして描かれた「Sonnenblumen」(ひまわり)が、60年の時を経てフランス国内で再発見されました。
ことの始まりは去年2005年の秋。
アートオークションで有名なChristie’s Franceの印象派&モダンアートセクションのディレクターであるThomas Seydouxのもとに、地方の弁護士から「鑑定を必要とするシーレの重要な作品を所持するクライアントがいる。」という一本の連絡が入ります。このような連絡は毎日のように届けられるもので、その大半が芸術作品のコピーであったり贋作であったりするのです。
また、以下のサイトには今作の紹介とともに「ひまわり」がたどった運命について書かれています。
本作でフォーカスされる《ひまわり》は、シーレが1914年に描いたもので、ゴッホの「ひまわり」を自分なりに解釈した1枚。発表当初はグザヴィエ・グミュール夫人が3000フランで購入したが、第一次世界大戦の勃発によってシーレへの支払いが遅れたため、ユダヤ人コレクターのカール・グリューンヴァルト(Karl Grünwald)が所有することとなった。1938年まではグリューンヴァルトが所有していたものの、ナチスが没収。その後、長らく行方不明になっていた。2006年にはグリューンヴァルトの相続人に返還され、同年、クリスティーズのオークションによって1176万8000ポンド(当時)で落札されている。
↑の引用に落札額が書いてありますが、今作の内容で重要なのは「ひまわり」がいったいどれくらいの価値がついたのかではなく、たった1枚の絵をめぐってさまざまな人生がうずまく点にあります。この映画で面白いなと思ったのは、序盤から登場人物がみんな性格悪いんですよね。最初に出てくる老婦人があまりにもひどく黒人差別発言をするので、現代を舞台にした映画ではないのかと疑ったくらいです。そこから、アンドレも感じ悪いしアンドレが雇っている研修生は嘘ばっかりつくし、君たちはいったいどうなっているのか、美術界隈には感じの悪い人しかいないのかと勘違いしそうになりました。
物語は最終的にみんな納得するしかないところへ着地するのですが、特に良かったのは、家の中から絵を見つけた工場労働者であるマルタン(アルカディ・ラデフ)です。欲がないというか。「純朴な田舎の青年」という幻想みたいなものも感じはしますが、彼は絵そのものに対して真摯であるし、彼の最後の言葉がなぜかとても心に残りました。良かったです。


