IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
IT/監督:アンディ・ムスキエティ/2017年/アメリカ
この記事は2017年に書いたIT/イット “それ”が見えたら、終わり。/今、そこにある恐怖。 | 映画感想 * FRAGILEを修正し転載したものです。
TOHOシネマズ新宿 スクリーン失念 J-17にて鑑賞。 1990年版は見ておらず原作も未読です。自分自身の怖いものについて考えてしまいます。子供は見られない映画だけど、子供に見せたいなとも思いますね。
あらすじ:ピエロが怖い。
※ネタバレしています。
『IT』見た。映画館出て帰る最中だが、周囲の人間が怖くて仕方ない。道行く人々が全員一気にこっち向いたら怖くない?まーそーゆーのが怖いというのは自意識過剰だからなんだけど……と自分の怖いものについて考えてしまうので、帰ってお風呂入れるかどうかがわかりません!明日の朝でもいいですか!
— ナイトウミノワ (@minowa_) November 8, 2017
久しぶりに、「見た映画に引っ張られて、世界が変わって見える」という経験をした。歌舞伎町を行き交う人たちが、一斉にこちらを見たら?と思ってしまい、何もかもが恐ろしく見えた。ホラー映画としてはそこまで怖くない類のものであったが、作りがうまいのでこういう経験に繋がったのかもしれないと思う。これも感動の一種か。
『IT』デザインのせいもあるが、ペニーワイズは怖いというよりカッコいいシーンの方が多かった。ビックリさせてくるから、こら!やめろ!って思うけど、驚かせがワンパターンでないところと、そーね、カッコいいのね。見る前に踏んだネタバレは解釈違いで、ネタバレではなかったとわかった。
— ナイトウミノワ (@minowa_) November 8, 2017
私が踏んだ、ネタバレだと勘違いしたものは、「ペニーワイズは地球外生命体」というものだった。まあ確かに口をグワーと開けて(あんなふうに開くとは思わなかったのでちょっと感動してしまった)、幾重にも重なった歯が剥き出しになるのは、地球外生命体的ではあるが、私はペニーワイズが最後に言っていたように、彼は「恐怖そのもの」なのだろうと思う。なんだかわからないもの、行動原理が理解できないもの、なんなら目的もよくわからないもの。いや、目的はあるんだけど、人間的ではけっしてないため、わからんな、となる。
ペニーワイズ構ってちゃん説というのがあって、今考えたものだが、あいつ、寂しがりやなんじゃないのかな?とかね、そういう感情はないだろうが、つきまといが過ぎる。そこが良い。ホラーだからね。
『IT』感覚としては、おばけ屋敷だなーと思う。ヤダヤダ怖い怖いでも先に進まないと出られない!
「腕が千切れる『スタンド・バイ・ミー』」とはうまく言ったものだなあ。
子供目線で怖いものって色々あるが、アレが怖いのはすごい辛い事と思う。救いがあってよかった。ビバリー……— ナイトウミノワ (@minowa_) November 8, 2017
子供たちはそれぞれ、自分が普段怖いと思っているものを幻覚として見てしまう。ビバリーは初潮を迎えたばかりだろうとは想像がつく。本当に単純に言って、血が出るのは、怖い。たぶん、生理への嫌悪感なり恐怖なりが、バスルームでのあの血飛沫シーンとして現れているのだろう。そしてビバリーが見る「怖いもの」は父親なのだ。本当にギリギリの描写で、彼女は父親から性的虐待を受けていることがわかる、ここのバランスは大変良かった。もっと踏み込むとキツイ。
『IT』良かったのは、現実と幻覚の区別が完全につかなくて、あれとかあれとか実際にはどっちなのよ!わ、わからんまま終わった!やったー!となりました。わからないほうがいいというときもあります
— ナイトウミノワ (@minowa_) November 8, 2017
親関係の問題を抱えている子は他にもいて、主人公らをいじめている嫌ないじめっ子も、父親の、おそらく幻覚を見る。あのシーンの演出は好きだ。テレビが「殺せ」と囃し立てる中、彼は父親の首を刺す。親殺しは成長の一部として扱われもするのだろう。
みなさんおっしゃっていることだが、ジュブナイルだな、という印象は強い。そして繰り返しになるが、ペニーワイズは、びっくりさせに来るもののめちゃめちゃ怖いというわけではなかった。かっこよかった。本当に怖いものは、一見して異形と見えるものではなく、日々の生活の中に否応なしにねじこまれた、歪んだ愛や病気、いじめ、死んでしまった(と思われる)兄弟……なのであろう。主人公が弟を「怖いもの」として認識しているとわかるところは切なかった。生死が不明な兄弟。戻ってきて欲しいと思っているが、心の何処かでは、さすがに生きていないだろうとわかっている。主人公は弟にとらわれてしまっている。あの時自分が舟を渡さなければ弟は行方不明にならなかっただろうという思いもあるかもしれない。
子供たちは大人になっていく、自らの心に巣食う恐怖と戦いながら。


