死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ
Das Verschwinden des Josef Mengele/監督:キリル・セレブレンニコフ/2025年/フランス・ドイツ合作
マスコミ試写で鑑賞。2026年2月27日(金)よりシネマート新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開。
あらすじ:ヨーゼフ・メンゲレの逃亡生活。
※ネタバレはありません。
アウシュヴィッツ収容所で非人道的な人体実験をおこない、「死の天使」と呼ばれたヨーゼフ・メンゲレ(アウグスト・ディール)。終戦後はイスラエル諜報機関モサドの追跡を逃れ、南米での潜伏生活を続けていました。
ヨーゼフ・メンゲレの名前がどれくらい知られているのかは、正直わかりません。ただ、第二次世界大戦中に双子を対象にした人体実験が行われていた、という話を聞いたことがある人は、ある程度いるのではないかと思います。かなり衝撃的な出来事ですし、人がそこまで残酷になれるのかと受け止めきれない人もいるでしょう。あまりに現実離れしていて、どこか作り話のように感じてしまう人もいるかもしれません。
現在のシーンは白黒、戦時中のシーンはカラーで映されます。メンゲレが行った実験については必要以上に扇情的には扱われません。それでももちろん中盤にある実験シーンは驚くほどに残酷で、まるで人の痛みなどそこにはないかのような描かれ方ではありました。
基本的には、メンゲレの逃亡生活を追っています。頑固で、考え方は冷たいまま。戦争から気持ちが抜けていない様子で、反省している気配さえも見えません。彼は老いてなおナチズムに支配されています。
私には理解が難しいことのひとつに、人の残酷さがあります。現在も行われている虐殺や戦争で、人が人を殺しているという事実があることはわかります。もちろんそれは、あってはならないことだということもわかります。どう書いたらよいか悩むところですが、なぜ人を殺せるのかが理解しがたいんです。私の想像力が欠如しているのかもしれません。平和ボケと言われればそれまでです。個人的な恨みをつのらせて犯行に及ぶのはまだ理解できなくもないけれど……。なんだか重い気持ちになる映画でした。


