ルイの9番目の人生/私の愛する、愛する息子

ミステリー
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ルイの9番目の人生

The 9th Life of Louis Drax/監督:アレクサンドル・アジャ/2017年/カナダ・イギリス

こちらの記事は、2018年に書いた、ルイの9番目の人生/私の愛する、愛する息子 | 映画感想 * FRAGILE を一部加筆修正して転載したものです。

新宿ピカデリー スクリーン7 J-7で鑑賞。原作未読です。アレクサンドル・アジャ監督作品は『ピラニア3D』(2010年)しか見ていません。8割方、救いのない話なので、そういうのがお好きな方は。

あらすじ:9歳で9回死にかけました。

ネタバレしています。注意書きはありません。

少年・ルイは、生まれた時から何度も何度も死にかけていた。9歳の誕生日、彼は崖から海に転落し、昏睡状態に陥る。

予告から想像して、ダークファンタジーっぽいのかなと思っていたが、ジャンルとしてはミステリーだった。オカルト的な部分もあり、また、映倫区分Gだが、これはGではギリギリではないか?というような死体の描写もある。話の運び方はスムーズで、ダレるところはなく、絵も美しい。

ルイの人生は悲惨だ。それは死にかけるからというだけではない。彼は自分の出自について知っている。父親と血が繋がっていないこと、養子に出されそうになったこと。母親からは十分すぎるほど愛されているが、同時にその母親が自分を傷つけていること。昏睡状態にあれば、つらい思いをしなくて済むのだ。昏睡状態では、社会と触れ合うことが出来ないため敢えてこう言うが、小さな子供が、社会的な死を望んでいるというのはとても切ない。ゆえにラストでの父親との対話が際立つわけだが……。

母親がルイを意のままに操っているのと同じように、ルイも医者を操る。ここは映画の中でもっとも非現実的なシーンだが、ダークファンタジー、オカルト、ミステリー、そして少しのホラーと、様々なジャンルを行き来しているように見えるこの映画の中では、これくらい非現実的であっても、すんなりと受け入れられるように出来ていると思う。

ルイはセラピストに対し「貴方が父親だったら良かったのに」などと言う、しかし、すぐに冗談だと言ってごまかす。私にはあれは、照れくささからごまかしたように見えた。そんな相手に対し、酷い内容の手紙を送りつけるのは、異常性をはらんでいるものの、それはそのまま、ルイがセラピストを信頼していたことの裏返しであると言える。

養子のことについて、ルイはけっこう差別的な発言をしている。これにはいささかギョッととしたが、養子の居る家庭を見下すことで、自分はまだましなんだと思おうとしているように見えた。現実でこのような発言をしたら大問題だが、これは映画なのと発言者が子供なのでまだ許されているという感じがする。

ルイにどんな未来が待ち受けているのだろうか。死を選んだ、小さな子供。歪んだ形でしか母の愛を知らない子供。そして、心の拠り所であった父親は、もういないということ。どうか彼が、未来に絶望しませんように。

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