別れる決心/食えない女、食われる男

サスペンス
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別れる決心

Decision to Leave/監督:パク・チャヌク/2022年/韓国

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年2月17日です。パク・チャヌク監督作は『オールド・ボーイ』(2003年)と『イノセント・ガーデン』(2013年)しか観ていないです。

あらすじ:警察と容疑者が惹かれ合います。

ネタバレはありません。

そんなに変わった撮影をしているわけでもないように感じるけど、どうということのないシーンで画がおもしろいというのが続くなあ、というのが第一印象です。こちらに背を向けて座っている2人と、こちらに横顔を向けて座っている2人、4人の顔が同時に見えるとか、別々の場所・別々の時間帯に居る2人が同じ画面に映っているとか、アリ目線のカットとかね。もうこれは絶対に偶然ではない、作り込まれた感がよいなと思います。

ストーリーに関しては、まあね、不倫の話なので、嫌がる人は嫌がるでしょう。不倫の話について、私は「嫌がる人は嫌がる」って書きますが、だってそうとしか言えないんだものと思っていますよ。ただ、今作の不倫はプラトニックなのと、不倫じゃなければいけなかった理由もあるので大丈夫です。大丈夫?

警察官(パク・ヘイル)が、奥さんが寝ているすきに容疑者(タン・ウェイ)にメールするシーンがあったりで、おいおい〜? とは思います。おい〜浮かれてんじゃねえぞ。高校生みたいなメンタルのメールやめなさい! と思いつつ、このシーンの演出がよくて、食い気味のパク・ヘイルに対しタン・ウェイが割と事務的というか他人行儀というか、距離があるんですよね。タン・ウェイが中国人で、韓国語があまり得意でないという設定だから、っていうのもあるのかなあ。これらは全部、やってやりましたよどうでしょう、私が撮るもの面白いでしょう、という鼻につくかんじもなくって、パク・チャヌクはドヤ顔をしないな〜と思いましたね。

タン・ウェイは計算高くて、自分のふるまいで相手がどういう気分になるのかをわかってやっているように見えるんですよね。自分の容姿がよいこともわかっているだろうし。パク・ヘイルを褒めるときの言葉の選びかたからもそれは思いました。感情移入しにくい、とらえどころの難しいキャラクターで、印象がすごく悪くなるかも。私はけっこう嫌いですね。

中盤で非常に居心地の悪いシーンがあり、そのとき彼女が一緒にいる人の発言がありえなくて(フィクションすぎるという意味ではなく、人としてどうかというありえなさ。でもこういう人いそう……)笑ってしまいましたね。冗談が小学生なんだよ〜。指をぱきぱき鳴らしたりして、どことなく不穏なかんじだし。なんでこんな人……って思うわけです。そんな人であることの答えについてタン・ウェイが語るとき、私は、あー、この女、やなやつ!! って思いました。そういう言い方をする? しますか? 感じ悪い! って。映画の登場人物に対して嫌な感情をいだくのも感動のうちだと思いますし、良い映画でした。おすすめです。イライラするかもだけど!

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