インフィニティ・プール/罪を償う時間だ

SF
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インフィニティ・プール

Infinity Pool/監督:ブランドン・クローネンバーグ/2023年/カナダ・クロアチア・ハンガリー合作

マスコミ試写で鑑賞。2024年4月5日(金)新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。R18+です。

あらすじ:身代わりのクローンが死刑になります。

ネタバレはありません。

作家であるジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)は、妻とともにリゾート地へ旅行に来ました。そこで、自分のファンだと言うガビ(ミア・ゴス)とその配偶者と知り合い、観光客が立ち入ることを禁じられているビーチへ出かけます。ところが、その帰りにジェームズが運転する車で通行人をはねてしまい……。


たとえ事故でも、人の命を奪うと裁判なしで死刑になってしまう国です。が、そんなことは何も知らない観光客のために、国は加害者のクローンを作り、それを身代わりとして死刑に処するんですね。クローンは本体と同じ身体的特徴をもち、感情や記憶もコピーされるため、処刑時には罪悪感を感じるとのことです。

でも、処刑されるのは「自分」ではないわけです。「自分のコピーを作って代わりに働いてほしい」と思うことはありませんか? 子どもじみた妄想ですが、きっと誰でも一度はそう思ったことがあるはずです。もちろん私も。もしかしたらブランドン・クローネンバーグ監督も。そして、自分と瓜二つのクローンを想像し、「こんなに似ているなら、どちらがどちらでも構わないのではないか」「もしかしたら、自分はクローンの方なのではないか」と思い巡らすことが……ありませんか。いや、ないならないで全く問題ありません。

途中、割と長めのベッドシーンがあります。これがあるからR18+なんだと思います(劇場公開版はわかりませんが、試写版はモザイクなしでした)。そのシーン、もやもやとした幻覚のような映像が流れるんですね。よーく観ていると、女性器から男性器が生えたり、乳首から何かが生えたりしています。こういうところ、本人は言われたくないだろうけれど、ブランドン・クローネンバーグのお父さん、デヴィッド・クローネンバーグ監督みたいだなと思いました。というか、『アンチヴァイラル』(2012年)も『ポゼッサー』(2020年)も、父親からの影響がつよく出ているなと思います。

今作は、クローネンバーグっぽさ(父子ともに)もありつつ、もう一歩踏み出しているように感じました。よくある「田舎へ行ったら怖かった」系かと思わせておいて、実際のところ……というストーリーですし。話はとてもわかりやすく、ミア・ゴス演じるガビのムカつく女っぷりが引き立ち、どんどん具合を悪くするアレクサンダー・スカルスガルドの落ちくぼんだ目とか、良かったですね。血とセックスが大丈夫な人にはおすすめです。

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