マイ・ハート・パピー/動物を飼うことは責任を負うこと

コメディ
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マイ・ハート・パピー

My Heart Puppy/監督:キム・ジュファン/2023年/韓国
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マスコミ試写で鑑賞。2024年1月2日(火)シネマート新宿ほか全国順次公開。

製作側が「慎重に動物を扱い、専門家を入れて撮影している」と明言していても、映画に出てくる生身の動物はそれだけで「虐待されている」と感じてしまう人は、観なくていいと思います。どんな映画であれ、無理してまで観なければならないものはありません。また、この映画は冒頭でゴールデンレトリバーに「今日は散歩はナシね」と言います。その一言でも引っ掛かる人は引っ掛かると思うので、あらすじとともに参考になさってください。

あらすじ:飼い犬の里親を探したい。

ネタバレはありません。

ミンス(ユ・ヨンソク)は飼い犬のルーニーを溺愛していたが、ある日、ルーニーとは一緒に住めなくなってしまう。いとこのジングク(チャ・テヒョン)は経営していたカフェがつぶれてお金に困っていた。ミンスから相談されたジングクは、里親探しを提案するのだが……。

ミンスは、犬アレルギーの恋人と結婚するためにルーニーを手放すことにするんですね。ジングクはちょっと粗野なところもある人物だけれど情に厚く、ミンスのために一生懸命になってルーニーの里親を探します。最初はInstagramで里親を募るわけですが、安心して預けられそうな人を見つけることができません。そこでミンスとジングクは、ルーニーを車に乗せて、遠くに住んでいる、犬を預けるのに適していると思える人のところへ向かいます。

10年以上飼っている犬と、3年付き合った彼女、どっちを取るんだ? と思っていました。でも、ミンスとジングクは厄介払いをするためにルーニーの里親を探しているわけではない、ということがわかってきます。道中、いろいろなことが重なって、身寄りのない犬がどんどん増えていくんです。その中で出てくる犬の保護センターのようすなどは、本当に悲惨すぎて胸が締め付けられるようでした。しかも、保護センターにいる犬よりもっと悲惨な境遇の犬もいて、けっこうなダメージをくらいましたね。なお、出てくる犬はみんな自然体で無邪気でとても可愛らしいです。そのへんは安心してください。

この映画には犬を飼うのに適していない人がたくさん出てきます。犬だけではなく、動物を飼うということは命を預かるということです。最後まで責任を持って世話をすることができないのであれば、飼ってはいけないと私は思います。

犬ではありませんが、私がかつて飼っていた動物のことを書きます。ヘビの話なので、苦手な方はここまで、で、よろしくお願いいたします。

20代の頃、ヘビの飼育にはまり、何匹か飼っていました。何匹だったのかはちょっとわかりません。私はヘビを自分の不注意で亡くすことが続きました。冬場、夜中に水入れに入っていたので、寒くないのかなと思いながらも朝まで放置してしまい、結局死なせてしまったり、ヒーターが壊れていることに気づかず死なせてしまったり。可哀想なことをしたと思っています。ヘビにとって冬は大変な時期です。よく聞かれますが、冬眠は危険なのでさせません(繁殖目的だったら冬眠もさせるらしいです)。

愛情をもつと死んだときにつらいから、と、何度も冬を生き延びた1匹のコーンスネークには名前をつけず、完全に鑑賞用で情などないと思って飼っていました。オレンジ色で目が赤い、かわいいヘビでした。ヘビは人に懐かないし(触られることに慣れはしますが、なつくわけではありません)、何年世話をしてもこちらを認識しません。噛むときはヘビの顔が変形するまで思いっきりやってきます。でも私は、なつく生き物よりもなつかない生き物が好きなので、それくらいの距離感でじゅうぶんでした。飼い始めたころは60センチ程度だったそのヘビは、最終的に1.5メートルほどまで成長していました。

10年くらい前、そのコーンスネークが目に見えて弱ってきました。背骨と肋骨が浮くほどに痩せ、マウスを与えても食べようとしませんでした。それでも栄養は与えないといけないため、強制給餌していました。ヘビを診てくれる医者はおらず、販売元に問い合わせても「その年齢だと老衰になると思います」と言われました。私はヘビの弱り具合をみて、今夜死ぬだろうと予想しておきながらも、現実から目をそらすため外へ飲みに出かけてしまいました。やはり冬の頃でした。

帰宅して部屋のドアを開けた途端、ものすごい腐敗臭がしました。一瞬で、あ、死んだんだな、とわかりました。水槽をあけてヘビを持ち上げたら、肛門から半液体状のマウスがボタボタと出てきました。臭かったのは、ヘビの体内で腐っていたマウスでした。私はすぐ、大きいジップロックにヘビの死骸を入れて冷凍庫へぶちこみ、汚れた水槽を洗いました。一通りの始末がおわってソファに座ったとき、それまでの人生の中で経験したことのない、大きな喪失感に襲われました。

観賞用と割り切って飼っていても、ロスはやってくるのだなと思います。あのときの感覚を、昨日のことのように思い出せます。そのコーンスネークは16年生きました。コーンスネークの寿命は飼育下で10年〜15年なので、販売元の言うとおりだったんですね。死骸をジップロックに入れて凍らせることに驚く人もいるかもしれませんが、すぐに埋葬できない状態だったので仕方ないんですよ。後日ちゃんと埋葬し、半年後に掘り返して骨を採りました。

その一件で私はヘビを飼うことをやめました。でもペットは欲しかったのでハリネズミを飼いました。ハリネズミの話については、いつかどこかで。

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