ひみつのなっちゃん。/さよならを言うために

ロードムービー
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ひみつのなっちゃん。

監督:田中和次朗/2023年/日本

U-NEXTで鑑賞。そうです、とうとうU-NEXTに加入しました。見逃した新作がいっぱいあって嬉しい!

あらすじ:秘密を隠して友人の葬式へ行く。

ネタバレしています。大オチのネタバレはありません。注意書きはありません。

新宿二丁目で飲食店を営んでいた秘密主義の元ドラァグクイーン、なっちゃん(カンニング竹山)が急死してしまう。友人であったバージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉)の3人のドラァグクイーンは、なっちゃんが家族に自身のことを隠していたと知り、なっちゃんのアパートへ証拠隠滅に行くのだが……。

なっちゃんのアパートに忍び込んで遺品の整理をしていたとき、なっちゃんの母(松原智恵子)と鉢合わせしてしまった3人。どうにかピンチを切り抜けるのだが、なっちゃんの母から葬式に誘われる。3人はなっちゃんの出身地である岐阜の郡上八幡へ行くことに。

ドラァグクイーンでロードムービー、だとやはり『プリシラ』(1994年)を思い出しますね。今作はドラァグの格好をして旅をするわけではなく派手さはありませんが、3人の絶妙な演技が観られます。特に滝藤賢一さんは過剰に「オネエ」じゃないところが良かったです。落ち着いていて上品な淑女というかんじ。また、途中で踊るシーンがあるんですが、渡部秀さんがめちゃくちゃかわいかったです。かわいい人は良いですね。よいものです。

私は岐阜県の出身ですが、郡上八幡は名前を知っている程度です。でも方言は近いため、岐阜で出会う人たちや、なっちゃんのお母さんの方言を聞いて、そうそう、そういうふうに言うよね〜なんて思っていました。

でね、まあいろいろあって3人が葬式に参列するわけです。喪主であるなっちゃんの母が挨拶をしているとき、3人が知らなかったなっちゃんの子供の頃の様子が語られるんですね。そこでなんだか泣いてしまって。滝藤賢一さんが過剰な泣き演技でなく、静かに声を出さず目をうるませているのをみたとき、故人への思いであるとか、バージンさん自身のそれまでの人生が透けて見えるようで、本当に良いシーンでした。

嫌な人も出てこないし、3人が差別されたりもしない。ドラァグクイーンやゲイを「イジって」いるわけでもない。誠実につくられた誠実な映画だと思います。おすすめです。

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